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『サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ (中公…』からの引用(抜き書き)読書ノート

引用(抜き書き)サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ (中公新書)』の読書ノート作成者:masudakotaro さん

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【第七講 操られる「好み」と「自由」】
人の行動は内発的と外発的という二種類の動機づけによってなされる。

人の示す好き嫌いや選択行動に影響及ぼす,潜在的な要因は何か。

自覚的過程と無自覚的過程とはどのように相互作用するのか。

親近性原理:単純に商品を「見知っている」「聞き覚えがある」「なじみがある」という状態にするだけで,消費者の欲望は高まり,他社のライバル商品よりも,広告の商品を選ぶようになる。

親近性効果=単純呈示効果:特定の対象をただ繰り返し経験するだけで,その対象に対する好感度,愛着,選好性(その対象を選ぶ可能性)などが増大する。特に「ただ繰り返し経験するだけ」というところがミソ。

実物そのものをじかに体験する必要はなく,実物を連想するものなら何でもよい。

どのような対象の場合でも,好感度は単純に経験が繰り返されればされるだけ,一律に増大する。

閾下(サブリミナル)単純呈示効果:実際には経験したことがあるが,その経験を本人が忘れていて,当の対象についてまったく見覚えもない場合。そういう場合でも,好感度はやはり上昇する。

「聞き覚えのあるもの」として再認できない場合がほとんどであっても,そのメロディに対する態度には変化が見られた。つまり好感度が増していた。

意識的な再認とは独立に,潜在記憶に基づいて好ましさの判断をおこなう過程がある。

被験者の再認判断に関する確信は,まったくあてにならない。

「見覚えがある」という人の判断が一般にあてにならず,またその判断にいくら「自信」があても,やはりあてにならない。

確信度と関係なく再認はまったくできていないにもかかわらず,より好きなほうを選ぶという選好課題では,明らかに経験済みの刺激がより高い確率で選ばれている。

「すでに呈示されたことがあるのはどちらの図形か」ということを訊くのに,直接的な訊き方ではなくて「好きなほうを選べ」という間接的な訊き方をしたほうが,被験者はよりよい成績を収めることができる。

確信度が上がるほど好感度も上がる。この傾向はしかし,実際に経験したか否かとは関係ない。確信度が高くなっても,再認正答率のほうは必ずしも上がっていないから。

単純呈示効果の存在を説明されても,一般論として「そういうことはあるだろう」と認めても,「自分の場合は違う」となおも言い張ったりする。

十分な数の反復をすれば,閾下の刺激のほうが単純呈示効果が大きくなる。反復したときに効果が増大する度合いは閾下の場合のほうが大きい。

「これはコマーシャルで見た」というはっきりした再認記憶がある場合よりも,ない場合のほうが効果が大きいという可能性。

高級なものあるいはイメージと商品名と,いつも一緒に繰り返し呈示されていると,商品名を見たり聞いただけで,なんとなく高級な感じが連想されてしまう。

マスメディアによる,あるいはマスメディアを通したサブリミナルな操作。
1.発言者あるいは製作者が意図的にあるメッセージを潜在化し,巧妙に流す。
2.当事者自信も潜在的に特定のコトバやシーン,アイテム,ストーリーなどを選択していて,それが結果として,サブリミナルな世論操作や流行操作を成功させる。

情報の送り手も受けても終始無自覚的であるケースがより頻繁に起こっているのかもしれない。
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