深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)』の読書ノート作成者:h_nagashima さん
『2012/10/02 作成
起きたからといって急にすることが見つかるわけでもないが、とにかくベッドの傍から離れ、宿の外に出て表の通りを歩きはじめる。まず行くのはチャイ屋だ。
チャイとは茶、インドでは紅茶をさす。インドの紅茶は、イギリス風の気取った飲み方をするというものではなく、紅茶と砂糖と牛乳を鍋に叩き込み、煮立ったところで茶漉しを通して器に注ぐという、粗野だがこってりしたミルク・ティーがほとんどだった。私は、乏しい金をいくらかでも倹約するために朝食を抜き、かわりにチャイを一杯だけ飲むことにしていた。
馴染みになったチャイ屋の親父は、バケツにはった水をくぐらせただけで洗ったコップを受け皿にのせ、そこに溢れるほど注いでくれる。まず受け皿にこぼれたチャイをすすり、それからコップに口をつける。熱すぎる場合には受け皿に少しずつこぼし、さましながら飲む。インドではそうした一杯が一ルピーの五分の一、二十パイサか三十パイサほどだった。私は僅か七、八円のそのチャイを、インドの暇人と一緒に時間をかけてすする。
チャイとは茶、インドでは紅茶をさす。インドの紅茶は、イギリス風の気取った飲み方をするというものではなく、紅茶と砂糖と牛乳を鍋に叩き込み、煮立ったところで茶漉しを通して器に注ぐという、粗野だがこってりしたミルク・ティーがほとんどだった。私は、乏しい金をいくらかでも倹約するために朝食を抜き、かわりにチャイを一杯だけ飲むことにしていた。
馴染みになったチャイ屋の親父は、バケツにはった水をくぐらせただけで洗ったコップを受け皿にのせ、そこに溢れるほど注いでくれる。まず受け皿にこぼれたチャイをすすり、それからコップに口をつける。熱すぎる場合には受け皿に少しずつこぼし、さましながら飲む。インドではそうした一杯が一ルピーの五分の一、二十パイサか三十パイサほどだった。私は僅か七、八円のそのチャイを、インドの暇人と一緒に時間をかけてすする。
MEMO:
後にハマることになる『深夜特急』の冒頭の一節。
今ではポピュラーになった飲み物「チャイ」を、ここで初めて知る。
それにしても沢木耕太郎氏のインドでのエピソードには引き込まれる。
「バケツにはった水をくぐらせただけで洗ったコップ」であったり、「私は僅か七、八円のそのチャイを、インドの暇人と一緒に時間をかけてすする」といった一文は、イメージとともに記憶に残る。
今ではポピュラーになった飲み物「チャイ」を、ここで初めて知る。
それにしても沢木耕太郎氏のインドでのエピソードには引き込まれる。
「バケツにはった水をくぐらせただけで洗ったコップ」であったり、「私は僅か七、八円のそのチャイを、インドの暇人と一緒に時間をかけてすする」といった一文は、イメージとともに記憶に残る。
h_nagashima さん
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