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『琵琶法師―“異界”を語る人びと (岩波新書)』からの引用(抜き書き)読書ノート

引用(抜き書き)琵琶法師―“異界”を語る人びと (岩波新書)』の読書ノート作成者:sonojitu さん

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(続き)
P16
昔の修業時代や、その後の琵琶弾き稼業に関する話をいてもらっても、どの思い出話も物語化されて語られた。物語中の人物に容易に転移してしまう山鹿は、その人物の声を一人称で語り、それと対話した昔の山鹿じしんも一人称の声で登場する。そんな語りの現場では、個々のペルソナを統括するはずの語り手の「我」という主語が不在であるとしかおもえなかった。
自己同一的な発話主体をもたないモノ語りというのは、山鹿とのかぞえきれないディスコミユニケーションの経験からみちびかれた私の実感である。

P17
山鹿良之については、晩年の日常生活を記録した青池憲司監督の映画『琵琶法師、山鹿良之』がある(毎日映画賞受賞、1992年)。えりすぐりの演奏録音をあつめた日本伝統文化振興財団制作のCD、『肥後の琵琶弾き・山鹿良之の世界』がある。

聞こえてくるのは、日常の言語活動にとってはノイズとしか思えないような声と四弦のざわめきである(ちなみに、琵琶法師の琵琶には、意図的にノイズをひびかせるためのサワリとよばれる独特の仕掛けがある)。

P22
西アジアのペルシャ周辺を発祥の地とした琵琶は、中国で改良されて、奈良・平安時代の日本に渡来した。琵琶が渡来楽器であるように、盲人が琵琶を弾いて芸能や宗教祭祀にたずさわる習俗も、大陸から渡来したものだろう。

P30
薩摩琵琶をもちいた『ノヴェンバー・ステップス』『エクリプス』」などの作曲者である武満徹(1930〜96)
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さん
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