『世界史 上 (中公文庫 マ 10-3)』の読書ノートリスト
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- 完全な人間の集団と、それ以前の人間に似た生物との間の大きな違いは、幼児期と少年期の長さにある。つまり、人間の場合、幼児が親に依存する期間が長くなるから、それにともなって親が子に生活の技術を教える時間が長くなるのである。子供の側から言うと、一人前になるまでの時間がのびることは、人間形成に時間がかかるようになり、したがって物を学ぶ能力が飛躍的に増大することを意味する。学習の能力が増すと、程度の差はあれおそらくは偶発的に行われる発明や発見の中から、よいものだけをえらびだして保存することが多くなる。 このような事態がおこったとき、文化的進化が、生物学的進化の比較的ゆっくりした歩みを追い抜き始めたのである。人間の行動は、DNAのすばらしい機構によって遺伝された個人の生物学的な資質よりも、人が社会の中で学んだものの力によってはるかに律せられるようになった。文化的進化が生物学的進化の先に立ったとき、本来の厳密な意味での歴史がはじまったのである。 P47(続きを読む)
haruga6 さん(2013/07/21 作成)