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このムダな努力をやめなさい: 「偽善者」になるな、「偽悪者」になれ
成毛 眞 / 三笠書房 / 人文・思想
努力には「時間」がかかる。時間がかかるということは「お金」や「努力」もかかるのだ。そういった「コスト意識」がないと、ムダな努力を重ねてしまうことになる。だから努力も「選別」する必要がある。 -- 今の日本は、いうまでもなく「善人になりたがる人」ばかりだ。みな自分が正しいと思い込んでいるから、些細なことで互いに責め合い、ギスギスしている。たとえば、電車やバスの中での携帯電話。ところ構わず大声でおしゃべりをしているおばちゃん連中は許され、なぜ小声で話す携帯電話は許されないのかと不思議に思ってしまう。外国では電車の中でも平気で携帯電話で話をしている。目くじらを立てているのは日本だけだ。優先席付近では電源を切るべきだといわれているが、今時のペースメーカーは隣にいる人が携帯で話しているくらいで壊れたりはしない。それで壊れるくらいなら、怖くて街は歩けない。 -- これからは「場当たり的に生きる」のをおすすめする。その場その場で判断を変えてもよし、今日できることを明日に持ち越してもよし。自分に課題を課さず、締め切りも設けない。もっとゆるく生きればいいのだ。 -- 一流の人間とそうでない人間の違いは、何を努力すればいいのかがわかっているか否か、という点につきる。やみくもに努力をするのは二流の人間だ。一流の人間は、最短で目的を達する方法を理解し、そのための努力は惜しまない。 -- まわりの目など気にせずに、自分の好きなことをやればいい。引きこもりが好きならずっと引きこもっていてもまったく問題はない。普通なら家にずっと閉じこもっていることには耐えられないのだから、引きこもれるのも一種の才能だ。ブッダも仕事などせずに菩提樹の下でひたすら瞑想していたから悟りを開いたのであり、一種の引きこもりのようなものである。ビジネスマンは、下手な精神論に流されずに、楽しんでできる仕事を見つけ、人からなんと言われようと、その仕事をしていればいい。 -- 成功者は、極端な人になると、失敗など忘れて成功だけを鮮明に記憶している。この「忘れる力」が、ポジティブな決断力を支えている。過去の失敗体験に加えて、世間体や扶養家族、親の介護や自分の老後などさまざまなしがらみの中で、自由な決断はなかなかできない。そこをあえて踏み切って、大きく飛べた人は大きな果実を手に入れられる。決断した結果、失敗に終わったとしても、恥じることなどない。恥ずかしいのは、決断できずに何も行動しないまま終わることだ。(続きを読む)2013/06/10 作成