ヴェネツィア 水の迷宮の夢』の読書ノート作成者:haruga6 さん
『2012/12/28 作成
それ(運河、水)は本当に楽譜のようにも見える。よく演奏されるので、隅は折れ曲がってしまってはいるけれど――譜は潮のように満ちてはひいてゆき、運河は小節記号、そして、もちろんヴァイオリンのネックにも似たゴンドラは言うに及ばない。実際この町全体が、特に夜になると、巨大なオーケストラのようにも見える。ぼんやりと明かりの灯ったパラッツォの楽譜立て、絶えまない波のコーラス、冬の夜空の星のファルセット。その音楽は、言うまでもなくその楽隊よりも素晴らしく、しかも、誰の手も、楽譜の頁をめくることはできないのだ。
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haruga6 さん
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