懐風藻 (講談社学術文庫)』の読書ノート作成者:akinomiya さん
『2013/05/12 作成
塵外年光満 塵外 年光満ち
林間物候明 林間 物候明かなり
風月澄遊席 風月 遊席に澄み
松桂期交情 松桂 交情を期す
(河島皇子 「山斎」)
***
隴上孤松翠 隴上 孤松翠に
凌雲心本明 凌雲 心もと明らかなり
(大納言直大二中臣朝臣大島 「孤松を詠ず」の最初の二行)
***
送雪梅花笑 雪を送つて梅花笑み
含霞竹葉清 霞を含んで竹葉清し
(従四位上治部卿境部王 「長王宅に宴す」の三、四行)
***
余この文を撰する意(こころ)は、まさに先哲の遺風を忘らざらむとするがためなり。ゆゑに懐風を以て、これに名づくといふことしかり。
(「懐風藻序」の最後の部分より。漢文は略しました)
林間物候明 林間 物候明かなり
風月澄遊席 風月 遊席に澄み
松桂期交情 松桂 交情を期す
(河島皇子 「山斎」)
***
隴上孤松翠 隴上 孤松翠に
凌雲心本明 凌雲 心もと明らかなり
(大納言直大二中臣朝臣大島 「孤松を詠ず」の最初の二行)
***
送雪梅花笑 雪を送つて梅花笑み
含霞竹葉清 霞を含んで竹葉清し
(従四位上治部卿境部王 「長王宅に宴す」の三、四行)
***
余この文を撰する意(こころ)は、まさに先哲の遺風を忘らざらむとするがためなり。ゆゑに懐風を以て、これに名づくといふことしかり。
(「懐風藻序」の最後の部分より。漢文は略しました)
MEMO:
読んだのは2004年の8~9月頃。買ったのは2000年か2001年。
『懐風藻』は、長岡良子さんの<古代幻想ロマンシリーズ>や、里中真智子さんの『天上の虹』の読者には、馴染みが深いと思われる。『万葉集』と並んで、当時の人々を描くためには引用を欠かせないものだからだ。
「読んでみたい」と思ったのも、それがきっかけ。2000年に初の文庫版が発売されて、Good Timing~♪
(それなのに読むのが遅いのはいつものこと。読み手(=私)と本の波長が合った時が、私にとっては「読み頃、読み時」なのだから)
「日本最古の漢詩集」とはいえ、人口に膾炙しているとは言い難い。日本文学史や日本文化史にその名は残っていても、『万葉集』という巨星が燦然と輝いているせいだろうか。
「漢詩」が輸入されたばかりの時期、当時の「日本」にとっては先進国である「唐」の文化に新鮮な風を感じ、「受け入れよう、追いつこう」という気概があったのでは、とも思う。(私見だが、「自国の文化よりも進んだ他国の文化の方が優秀だ」と思い込む風潮は、この時期から?)
皇族や「政府」の高官といった、身分の高い人々が作った「漢詩」。それなりに知識もルールも知らなくてはならないから、庶民に広まらなかったのは、当然とも言える。逆に言うなら、ここで「文化上の身分の違い」が、スパッと分けられたのかも・・・?
通読してみて、読むのは確かに辛かったと認めよう(苦笑) 題材からして、硬い。堅苦しい。あまり面白みがない。(「恋」を詠んだものがないんだもん)
だけどそれは、中国の詩人たちの洗練され技巧を凝らした漢詩を、中学生の頃から味わっているせいかもしれない。
彼らに比べて内容・技術が、稚拙で素朴で、若々しくて荒々しくても、「漢詩」に挑戦した当時の「日本」の知識人たちの心意気を、もっと汲んでもいいと思う。
「日本の漢詩」を初めてまとめた人々の努力に、敬意を表して、高く評価してもいいと思う。
そうでなきゃ、「日本最古の漢詩集」という財産は、今の世に残っていないだろうから。
この時代が好きな人・興味がある人には、お薦めしておく。「漢詩」という形式に縛られているとはいえ、この時代を生きた人々の確かな息吹が、ここにも感じ取れると思うから。
『懐風藻』は、長岡良子さんの<古代幻想ロマンシリーズ>や、里中真智子さんの『天上の虹』の読者には、馴染みが深いと思われる。『万葉集』と並んで、当時の人々を描くためには引用を欠かせないものだからだ。
「読んでみたい」と思ったのも、それがきっかけ。2000年に初の文庫版が発売されて、Good Timing~♪
(それなのに読むのが遅いのはいつものこと。読み手(=私)と本の波長が合った時が、私にとっては「読み頃、読み時」なのだから)
「日本最古の漢詩集」とはいえ、人口に膾炙しているとは言い難い。日本文学史や日本文化史にその名は残っていても、『万葉集』という巨星が燦然と輝いているせいだろうか。
「漢詩」が輸入されたばかりの時期、当時の「日本」にとっては先進国である「唐」の文化に新鮮な風を感じ、「受け入れよう、追いつこう」という気概があったのでは、とも思う。(私見だが、「自国の文化よりも進んだ他国の文化の方が優秀だ」と思い込む風潮は、この時期から?)
皇族や「政府」の高官といった、身分の高い人々が作った「漢詩」。それなりに知識もルールも知らなくてはならないから、庶民に広まらなかったのは、当然とも言える。逆に言うなら、ここで「文化上の身分の違い」が、スパッと分けられたのかも・・・?
通読してみて、読むのは確かに辛かったと認めよう(苦笑) 題材からして、硬い。堅苦しい。あまり面白みがない。(「恋」を詠んだものがないんだもん)
だけどそれは、中国の詩人たちの洗練され技巧を凝らした漢詩を、中学生の頃から味わっているせいかもしれない。
彼らに比べて内容・技術が、稚拙で素朴で、若々しくて荒々しくても、「漢詩」に挑戦した当時の「日本」の知識人たちの心意気を、もっと汲んでもいいと思う。
「日本の漢詩」を初めてまとめた人々の努力に、敬意を表して、高く評価してもいいと思う。
そうでなきゃ、「日本最古の漢詩集」という財産は、今の世に残っていないだろうから。
この時代が好きな人・興味がある人には、お薦めしておく。「漢詩」という形式に縛られているとはいえ、この時代を生きた人々の確かな息吹が、ここにも感じ取れると思うから。
akinomiya さん
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