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『ポケットに物語を入れて』からの引用(抜き書き)読書ノートリスト

引用(抜き書き)『ポケットに物語を入れて』の読書ノートリスト

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  • P.12 正解なんてどこにもないが、正解よりもはるかに巨大なものがある。その巨大なものの、どこに触れてもいいのだし、どこにも触れられなくてもいいのだ。本は本というかたちで世に出たとたん、作者は消えるに等しい。作者の言わんとするところなんて、本の豊穣にくらべたら、まったく意味がない。と、私は思っている。 読書というのはかくも寛容だ。 はじめての文庫本解説でそうしたように、その後も、書評でも解説でも、私の気持ちとしては感想文として、「私はこのように読んだ」という巨大なもののほんの一部、私が触れることのできたところのみを書いてきた。ほかの人の書いた解説や書評も、そのように読むようになった。そうすると、実際に会話するわけではないが、会話が生まれる。へえ、あなたはそこを触ったんだね、そんなふうな感触だったんだね。え、そんな部分があったとは、ぜんぜん気づかなかった、私ももう一度、あの巨大なものを違う角度から見てみよう……等々と。(続きを読む
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popohidroさん
popohidro さん(2015/01/12 作成)
  • P.16 冬の日差しは夏よりも尖っていて、木々や家々の輪郭をよりくっきりと光らせる。空気が澄んでいて、遠くの山は書き割りみたいに迫って見える。夕方前にはもう、光景に淡い金粉がまぶされ、暮れはじめた空には一番星が光る。月も星もくっきりと瞬く。生きることの残酷さが、強いものと弱いもののものがなしさが、冬の日射しのなかに少しだけやわらぐ。「すべてのあらゆるいきものは、みんな気のいい、かわいそうなものである。けっして憎んではならん。」冬の日にこそ、こんな言葉はあったかく響く。(続きを読む
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    popohidroさん
    popohidro さん(2015/01/12 作成)
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