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『ポケットに物語を入れて』からの引用(抜き書き)読書ノート

引用(抜き書き)ポケットに物語を入れて』の読書ノート作成者:popohidro さん

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作成
P.12
正解なんてどこにもないが、正解よりもはるかに巨大なものがある。その巨大なものの、どこに触れてもいいのだし、どこにも触れられなくてもいいのだ。本は本というかたちで世に出たとたん、作者は消えるに等しい。作者の言わんとするところなんて、本の豊穣にくらべたら、まったく意味がない。と、私は思っている。
読書というのはかくも寛容だ。
はじめての文庫本解説でそうしたように、その後も、書評でも解説でも、私の気持ちとしては感想文として、「私はこのように読んだ」という巨大なもののほんの一部、私が触れることのできたところのみを書いてきた。ほかの人の書いた解説や書評も、そのように読むようになった。そうすると、実際に会話するわけではないが、会話が生まれる。へえ、あなたはそこを触ったんだね、そんなふうな感触だったんだね。え、そんな部分があったとは、ぜんぜん気づかなかった、私ももう一度、あの巨大なものを違う角度から見てみよう……等々と。
さん
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