『レトリックのすすめ』の読書ノートリスト
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- P37 喩える 岡本かの子「金魚撩乱」より 撩乱として白砂よりもより膜性の、幾十筋の皺がなよなよと縺れつ縺れつゆらめき出た。 ゆらめき離れてはまた開く。大きさは両手の親指と人差し指で大幅に一囲みして形容する白牡丹ほどもあろうか。 それが一つの金魚であった。その白牡丹のような白砂の鰭には更に菫、丹、藤、薄青等の色斑があり、 更に墨色古金色等の斑点も交じって万華鏡のような絢爛、波瀾を重畳させつつ嬌艶に豪華に また淑々として上品に内気にあどけなくもゆらぎ拡ごり拡ごりゆらぎ、更にまたゆらぎ拡ごり、 どこか無限の遠方からその生を操られるような神秘な動き方をするのであった。(続きを読む)