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『わたしはマララ』からの引用(抜き書き)読書ノートリスト

引用(抜き書き)『わたしはマララ』の読書ノートリスト

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  • 【第五部 第二の人生】 もちろん、一番になりたい。物理の教科書がとくにほしかった。苦手だからこそ、勉強したい。計算の練習問題もやりたい。数学も得意ではないけど、だからこそやりたい。 わたしは笑えなくなっていた。左目がぎょろっと飛びだしているようになっていたし、髪も半分なくなっていた。口は斜めになって、まるで下に引っぱられているような感じだ。にっこり笑おうとしても、顔をしかめたようになってしまう。顔の半分の存在を脳が忘れてしまったみたいだ。それに、左の耳が聞こえない。しゃべる言葉も、赤ちゃんの言葉のようになっていた。 骨を取りもどすかわりに、チタンを使った頭蓋形成手術をおこなうことになった。わたしの頭蓋に合うように成形したチタンプレートを、ねじを八本使って埋めこむそうだ。 頭のなか、耳に近いところに、人工内耳という電子装置を埋めこんだ。 ひとりの人が放った弾丸が、わたしに当たった。弾丸のせいでわたしの脳は腫れ、耳がきこえなくなり、顔の左半分の神経が切れた。 神様は、わたしがお墓に行くのを引きとめてくれた。だから、いまのわたしは第二の人生を歩んでいるようなもの。人々は神様に、わたしを助けてと祈ってくれた。そしてわたしは助けられた。それには理由があるのだ。わたしには、第二の人生をかけて、みんなを助けるという使命がある。 わたしは〝タリバンに撃たれた少女〟だとは思われたくない。〝教育のために戦った少女〟だと思われたい。そのためにも、わたしは人生を捧げるつもりだ。 【エピローグ ひとりの子ども、ひとりの教師、一冊の本、一本のペン】 わたしの人生をどう生きるかはわたしが決める。 タリバンに殺されなくても、子どもたちは死んでいく。無人機に攻撃されたり、紛争に巻きこまれたり、食べるものがなかったり。家族に殺されることもある。 すべての家庭に、すべての村に、すべての町に、すべての国に、平和が訪れること――それがわたしの夢。世界じゅうのすべての男の子とすべての女の子が教育を受けられますように。 【国連本部でのスピーチ】 テロリストたちは、わたしの目的を変えさせてやろう、目標をあきらめさせてやろう、と考えたのでしょう。でも、わたしのなかで変わったことなど、なにひとつありません。あるとすれば、ひとつだけ。弱さと恐怖と絶望が消え、強さと力と勇気が生まれたのです。 言葉には力があります。わたしたちの言葉で世界を変えることができます。 ひとりの子ども、ひとりの教師、一冊の本、そして一本のペンが、世界を変えるのです。(続きを読む
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masudakotaroさん
masudakotaro さん(2014/02/01 作成)
  • 【第三部 三発の銃弾、三人の少女】 (父の友人で、スワート大学の副学長をしていたムハンマド・ファルーク博士が銃殺されたことを受けて)苛立ちと恐怖を、ふたたび味わうことになった。IDPになったとき、わたしは政治家になることを考えはじめた。やはりそうするべきだと、このとき確信した。パキスタンは問題だらけなのに、それを解決しようとする政治家がひとりもいない。 わたしたちの学校に、うちから歩いて10分くらいのところに住んでいる先生がいる。その先生のお兄さんが、軍に逮捕された。足かせをつけられ、拷問を受け、冷蔵庫に入れられて死んでしまったそうだ。タリバンとはなんの関係もない、ごく普通の商店主だったのに。あとになって、軍が謝罪にやってきた。名前のよく似た別人と間違えて逮捕した、とのことだ。 わたしがしたのは、意見をはっきりと口にすることだけ。組織を作って活動したわけじゃない。いままでの受賞者はみんなそういうことをやっている。 首相から賞と賞金の小切手を渡されたあと、私は政府にお願いしたいことを次々に述べたてた。破壊された学校を再建してほしい。スワートに女子の大学を作ってほしい。まともに取り合ってもらえるとは思っていなかったので、強い口調では言わなかった。いつかわたしが政治家になったら、自分の力でやってやる、と思っていた。 クラスメートのだれが、私と同じことをやっていてもおかしくない。わたしには両親の後押しがあったから、ここまでやれただけだ。 戦争があると、勝ったほうの兵士たちは、戦利品を手にしたり、報奨金をもらったりする。わたしが報奨金や賞金をもらったり、有名になったりしたのも、それと同じかもしれない、という気がしてきた。そんなものは小さな宝石と同じで、たいした意味はない。そんなものに気をとられることなく、真剣に戦っていかなければならない。 パキスタンの女性が自立したいという思いを口にすれば、父親やきょうだいや夫に従うのがいやなんだ、と受け取られてしまう。そういう意味ではないのに。自分のことは自分で決めて生きていきたいだけなのに。自由に学校に行きたいし、自由に働きたい。コーランのどこにも、女は男に依存するべきだ、なんて書かれていない。すべての女は男のいうことをきくべきだ、なんて神様がいったこともない。 なぜか、わたし自身は、怖いとは思わなかった。だれでもいつかは死ぬ。それはだれにもどうにもできないことだ。タリバンに殺されるかもしれないし、ガンで死ぬかもしれない。どちらでもかまわない。それまでに、やりたいことをやるだけだ。 スピーチの依頼がいくつも来ている。断ることなんてできない。命の危険があるからできない、なんていえない。わたしたちは誇り高きパシュトゥン人なのだ。 コーランの第二章、雌牛章にある「玉座の誌」をよく暗唱していた。この誌は特別なもので、夜に三回暗唱すれば、悪魔から身を守ることができると信じられている。五回暗唱すれば町全体が守られるし、七回暗唱すれば地域全体が守られる。だからわたしは、七回かそれ以上、毎晩暗唱した。 「神様、わたしたちをお守りください。父と家族を、この町を、この地域を、そしてスワートを」それからつけくわえる。「いいえ、イスラム教徒全員をお守りください。いえ、イスラム教徒だけでなく、人類のすべてをお守りください」 「どの子がマララだ?」男の声がした。答えるチャンスは与えてもらえなかった。答えることができたとしたら、女の子が学校に行くのを認めるべきだ、あなたたちの娘や妹も学校に行かせるべきだ、といってやれたのに。 【第四部 生と死のはざまで】 手術室では、ジュナイド先生がのこぎりのような器具を使って、わたしの頭蓋骨の左上の部分を切りとっていた。大きさは8センチ×10センチくらい。これで、脳が腫れてもだいじょうぶだ。それから、おなかの左側の皮下組織に切れ目を入れて、切除した頭蓋骨をうめこんだ。そうやって保存しておくのだ。続いて気管切開。脳の腫れのせいで気管が狭くなっている可能性があるからだ。脳にできていた血塊を除去し、肩甲骨近くにあった弾丸も摘出した。すべての処置が終わったあと、人工呼吸器を取りつけた。終わったときには5時間近くたっていた。 わたしは適切なタイミングで適切な手術を受けたけれど、アフターケアに問題があって、無事に回復できるかどうかが微妙な状態だったのだ。(続きを読む
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    masudakotaroさん
    masudakotaro さん(2014/02/01 作成)
  • 【第二部 死の渓谷】 タリバンはまず、私たちから音楽を取りあげ、次に仏像を取りあげた。それから、私たちの歴史を奪った。 タリバンの姿がスワートでみられるようになったのと同じ頃、赤のモスクの女子生徒たちが、イスラマバードでテロ活動をはじめた。(中略)タリバンを支持する活動であれば、女が堂々と意見を口にすることも、人前に出ることも、許されるのだ。 私はこう思う――ファズルラーのようなたったひとりの人間がすべてを破壊できるのなら、たったひとりの少女がそれを変えることもできるはずだ。 学校に行って、本を読み、宿題をする。それはただ時間を費やしているだけではない。未来を作っているのだ。 普通ならかくれんぼや鬼ごっこをしているはずの子どもたちが、いまは政府軍対タリバンの戦争ごっこをしている。木の枝で携帯用ロケット発射器やカラシニコフを作っている。 わたしはひとりの人間にすぎない。銃声をきくたびに、心臓がどきどきする。怖くてたまらないときもある。でも、泣き言はいわなかった。怖いからといって、学校に行くのをやめるつもりもなかった。でも、恐怖は人を変える。(中略)恐怖は人間を残酷にする。タリバンは、パシュトゥン人の誇りも、イスラムの尊さも、踏みにじっている。 わたしたちは教育を受ける権利がある。歌を歌う権利があるのと同じだ。イスラム教はこの権利を認めているし、男の子も女の子もみんな学校に行くべきだといっている。コーランには「知識を得よ、しっかり学んで、世の中のなぞを解明せよ」とある。 やっぱりペンの力は強い。ペンと、ペンが生み出す言葉は、マシンガンや戦車やヘリコプターなんかよりずっと強い力を持っていると思う。戦う方法がわかってきた。自分たちのあげる声にどれだけの力があるかも分かってきた。 タリバンは、女の子に勉強を教えるのは女性教師、女性を診察するのは女性医師であるべきだといいながら、女の子は学校に行ってはいけないという。それでどうやって、女の子に教師や医師になれというんだろう。 世の中にはいろんなものを怖がる人がいる。幽霊が怖いとか、クモが怖いとか、ヘビが怖いとか。あの頃のわたしたちは、人間が怖かった。(続きを読む
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    masudakotaroさん
    masudakotaro さん(2014/02/01 作成)
  • 【第一部 タリバン以前】 ここは、男の子が生まれたら祝砲、女の子が生まれたらカーテンのうしろに隠す国だ。女の子の役割は、食事を作って、子どもを産むことだけ。 マララという名前は、アフガニスタンの偉大なヒロイン、マイワンドのマラライにちなんだものだ。 1880年の第二次アフガン戦争の大きな戦いで、マラライはアフガニスタンの兵士たちを励まして、イギリス軍を退けたのだ。 マラライはイギリス軍に撃ち殺されたが、その言葉と勇気が、アフガン軍の兵士たちを奮いたたせた。 結婚を申しこむときは理髪師に伝言を頼むのが、パシュトゥン人の伝統だ。 パキスタン建国の父ジンナーはこういっている。「男女が力を合わせなければ、なにごとも達成できない。世の中にはふたつの力がある。剣の力とペンの力だ。そしてもうひとつ、それらより強い力がある。それは、女性の力だ」 イスラム法では、法廷における女性の証言には、男性の証言の二分の一しか価値がないとされる。 レイプされて妊娠した13歳の少女が、レイプだったと証言してくれる男性の証人がいないばかりに、姦通罪で投獄される。 女性は、男性の許可がないと、銀行に口座も作れない。 難民キャンプの子どもたちに与えられる教科書も、アメリカの大学で作られたもので、基礎的な算数の計算でさえ、戦争を題材にして説明されていた。たとえば、「ソ連の異教徒10人のうち5人がわれわれイスラム教徒によって殺されたら、残りは5人です」とか、「(弾丸15発)-(弾丸10発)=(弾丸5発)」という具合だ。 父が子どもの頃の話をするとき、いつもこういう。自分の父親は気むずかしい人だったが、なにやりも大切な贈り物をくれた、と。それは、教育。 祖父はまた、知識を身につけることの楽しさを父に教えた。人間のさまざまな権利を踏みにじってはいけないということも、父は祖父に教わって、それをわたしに教えてくれた。 父はこういっている。教育は自分にとって最高の贈り物だった。その教育を受けられない人がたくさんいることが、パキスタンの抱える多くの問題の根底にある。無知な人々は、政治家にだまされていることに気づかない。悪い人間を、選挙でまた選んでしまう。すべての国民が学校に通えるようにするべきだ。金持ちだろうが貧乏人だろうが、男だろうが女だろうが関係ない。 シーマという、15歳の美しい女の子がいた。シーマには好きな男の子がいて、みんながそのことを知っていた。その男の子が近くを通りかかると、シーマは、ほかの女の子たちがうらやむような長いまつげごしに、男の子をみつめる。私たちの社会では、女の子が男性となれなれしく接してはいけない。女の子の家の恥になってしまうのだ。男性のほうはおとがめなしだというのに。私たちはシーマが自殺したときかされたけど、真実はあとでわかった。シーマは家族に毒殺されたのだ。 スワラという習慣もある。部族どうしの諍いをおさめるためには、女の子をやりとりしてもいいというものだ。 諍いをおさめるためとはいえ、どうして、なんの関係もない女の子が、人生を棒に振らなければならないんだろう。 マハトマ・ガンディーは、「間違いをおかす自由がなければ、自由には価値などない」といったそうだ。 仏教寺院だろうが、モスクだろうが、パキスタン国内の好きなところで礼拝すればよいのです。どのような神を信じていようと、どのようなカーストであろうと、ここパキスタンで生活するのにはなんの問題もありません。(建国の父ジンナーの演説) 軍は動揺した。戦うのを拒否する兵士もいた。同じ民族どうしで戦うのがいやだったのだ。 軍はたった12日で撤退し、(中略)地元の武装勢力指揮官たちと和平協定を締結した。パキスタン軍がアルカイダに金を払うかわりに、アルカイダは戦闘をやめる、という内容だ。(中略)ところがアルカイダは、その金でさらに武器を調達し、戦闘を再開した。数ヵ月後、米軍が無人飛行機によるパキスタン攻撃をはじめた。 わたしたちはアメリカと戦争をしているわけではないのに、どうしてアメリカに空爆されなければならないのか。 2006年1月、アイマン・アル・ザワヒリを狙ったと思われる無人機が、ダマドラという村を攻撃し、三軒の民家を破壊、18人の死者を出した。 同じ年の10月30日、アメリカの無人機が、カールという大きな町に近い丘にあるマドラサを爆撃した。死者は82人。その多くが少年だった。(続きを読む
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    masudakotaroさん
    masudakotaro さん(2014/02/01 作成)
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