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chiyorin さんのプロフィール

chiyorin さん
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  • 反哲学史 (講談社学術文庫)
    それにしても労働を通じて自らを自覚すると言うのはどういうことでしょうか。それは簡単にはこんな風に考えて良いかと思います。つまり一般に労働すると言う事は、労働の主体が己に異他的なものとして対立するものに働きかけてそれを己の望む形に変えることです。労働の主体は労働を通じていわば対象のうちに自己を移し入れ自己を外化するのだといってもよいかと思います。しかしそうした対象の変形は決して主体の勝手気ままにできるものではありません。それを成すには労働の主体が対象の本性をよく認識し、忍耐強く自らを対象に従わせねばなりません。例えば足を踏み入れるのも恐ろしい異他的なものとして、人間の前に立ち塞がっている前人未到のジャングルに労働によって働きかけ、それを美しい麦畑に変えようとする場合を考えてみましょう。そのためには切り倒そうと思う木の硬さや性質を知りそれに応じて道具を使い季節と播種の関係、収穫の時期等をよく心得ていなければならないでしょうし、疲れて休みたい時も強い意志の力で働き続けなければなりません。したがって労働によって対象がその姿を変える間その労働の主体のほうも消しても出ているわけでは無いのです。主体のほうも少なくともその対象の本性についての認識を置いたり自己の直接的欲望を抑えて対象を規定している本性に自らを従わせる訓練をすることによってたくましい肉体を持ちいわば高い教養を備え強い意志でおのれを制御することのできるいっそう人間らしい人間に成長していくことになるわけです。こうしてその労働が完了し労働の主体が対象のうちに自己を外化しそこにいわば己の分身を認めるようになったときその主体は自分の持っていた可能性の少なくとも1部を現実化しじっとしていては知ることのできなかった自己を自覚するに至るのです。ですからヘーゲルの言う自覚とは労働を通じての自己実現の事だと言っても良いかもしれません。そしてそのように自己実現した時この労働の主体は対象後に自己の分身を見、対象のうちにあっていわばアットホームでありうるヘーゲルの言い方を借りれば他者に置いて自己自身のもとにあることになり大きな自由を享受しうることになります。(続きを読む
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    2015/08/04 作成
  • ムーミン谷のひみつ (ちくま文庫)
    ミイがいみじくも言いはなったとおり、ものは貯めこめば貯めこむほど「くさる」。最初はいやいやながらでも与えることで、ムーミントロールは少しずつ自由になっていく。最後には、これだけは確保するぞとタイルストーブの中に隠しておいた、とっておきの苺ジャムの大瓶を、元気が良すぎてみんなから煙たがられていたヘムルに餞別として差し出すまでになる。 どんなにいいものでも、守りに入りすぎると〈くさらせて〉しまうよ、と。(続きを読む
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    2015/03/09 作成
  • 幸福論 (角川ソフィア文庫)

    幸福論 (角川ソフィア文庫)

    アラン / 石川 湧 / / KADOKAWA / 角川学芸出版 / ノンフィクション

    幸福になることを欲し、それに身を入れることが必要である。(続きを読む
    2,679 Views
    2015/03/03 作成
  • 幸福論 (角川ソフィア文庫)

    幸福論 (角川ソフィア文庫)

    アラン / 石川 湧 / / KADOKAWA / 角川学芸出版 / ノンフィクション

    楽しい猟師と悲しい猟師とがあるのと同じことだ。悲しい猟師は兎をしくじって、《これがおれの運というやつさ》と言い、やがてこんなことはおれだけだ、などと言う。楽しい猟師は、兎の賢いことに感心する。鍋の中に飛びこむことが兎の天職ではないことを、よく知っているからだ。ことわざには、こういう男らしい知恵が多い。(続きを読む
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    2015/03/02 作成
  • ぼくと「ジョージ」 (岩波少年文庫)

    ぼくと「ジョージ」 (岩波少年文庫)

    E.L. カニグズバーグ / 岩波書店 / 文学・評論

    母親業と言うのは、ある人物がその生成物の質によって価値を定められない、ただ1つの職業であることを悟った。(続きを読む
    2,316 Views
    2014/12/22 作成
  • ぼくと「ジョージ」 (岩波少年文庫)

    ぼくと「ジョージ」 (岩波少年文庫)

    E.L. カニグズバーグ / 岩波書店 / 文学・評論

    ジョージにはわかった。ベンに砂のお城みたいな一生を送ることをやめさせ、沈黙の堀の真ん中にぽつんと立ったような科学の尖塔を築くのをやめさせ、技術を磨く代わりにお世辞や友情を欲しいがるのをやめさせるためには、静かな革命を起こさなくてはならない、と。(続きを読む
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    2014/12/22 作成
  • ぼくと「ジョージ」 (岩波少年文庫)

    ぼくと「ジョージ」 (岩波少年文庫)

    E.L. カニグズバーグ / 岩波書店 / 文学・評論

    週の初めにはその金曜日のことを思って楽しんだ。人はいつも考え続けられるいい日を持つべきなのだ。どっちから見てもいい日ーー待っている間も、思い出してみる時も。(続きを読む
    2,050 Views
    2014/12/22 作成
  • ぼくと「ジョージ」 (岩波少年文庫)

    ぼくと「ジョージ」 (岩波少年文庫)

    E.L. カニグズバーグ / 岩波書店 / 文学・評論

    人はよく幸福と快活を混同するのだが、幸福は必ずしも派手で明るくて賑やかだとは限らないのだ。幸福は、種子のない、薄い皮の中でほの赤く甘くなるスイカのように熟すものだ。スイカのように、地味な暗い色をした皮ですっぽり包まれていることがあるのだ。(続きを読む
    2,148 Views
    2014/12/22 作成
  • 物語とふしぎ (岩波現代文庫〈子どもとファンタジー〉コレクション 3)
    1人の人間も、その存在を支えるコンステレーションを持っている。父や母や家族ばかりでなく、あんがい氏神様の神社とか、庭にある一本の木とか、いろいろな人やものが、1人の人の周りに存在してうまく支えてくれている。しかし、それは変化する。(続きを読む
    2,070 Views
    2014/12/15 作成
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