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『根をもつこと(下) (岩波文庫)』からの引用(抜き書き)読書ノート

引用(抜き書き)根をもつこと(下) (岩波文庫)』の読書ノート作成者:tmkn さん

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教育方法をひとつくらい考案しても、人間としてのなんらかの完成の構想を霊感とするものでなければ、なにほどの価値もない。一国の民衆の教育が問題となるとき、この構想は文明の構想でなければならない。この構想を過去に求めてはならない。そこには不完全なものしかないのだから。いわんや未来への夢想に求めるべきではない。必然的にわれわれとおなじく凡庸であり、それゆえ過去にもはるかに劣るからだ。

教育とは、その対象が子どもにせよおとなにせよ、個人にせよ民衆にせよ、あるいは本人自身であるにせよ、もろもろの原動力(モビル)を生まれさせることだ。

行動に不可欠な量のエネルギーを供給する原動力なしには、いかなる行動も実践にうつされえないからだ。

ところで権力は目的ではない。〈中略〉権力はひたすら手段のみを構成する。権力と政治の関係はピアノと作曲の関係に等しい。

不幸なことにわれわれは、ピアノの製作とソナタの作曲を混同してしまった。
MEMO:
第二次世界大戦中ドイツの占領下にあったフランスを立て直すために書かれたものだが、危機的な状況にある国家や国民が立ち直るにはどうしたらよいかが考察されている点で、今の日本に当てはめて読むこともできる。キリスト教的な部分にはあまりなじめないけれども。
民主主義を自らの手で実現させたはずのフランスがファシズム国家に占領されたことに衝撃をうけながらも、フランスを一方的に被害者の立場に置いて語るのではなく、フランス国民が招いたことでもあるという視点にたち続けるところがこの著者の誠実さだと思う。

次回の選挙ではきっと自民党が政権をとるだろうが、教育再生やら親学などと言ってる輩には読んでもらいたい。

ピアノを何台すげ替えても一曲のソナタも演奏できないでいる日本はこれからどうなるのだろう。しかしこれは結局他でもない「私」の責任なのだ。
さん
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