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『読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読…』からの引用(抜き書き)読書ノート

引用(抜き書き)読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門』の読書ノート作成者:h_nagashima さん

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主人公の星飛雄馬は、大リーグボール養成ギブスやうさぎ跳びといった科学性が大いに欠ける根性型のスパルタ教育を受ける。その結果、当然野球はできるがそれ以外のことができない、バランス感覚が欠落した人間に育ってしまう。星飛雄馬は競争に勝つことしか考えず、他人とうまくコミュニケーションがとれない。親友であるはずの伴宙太との関係も、父親が少々介入したぐらいのことで簡単に破綻してしまう。
 さらに自分以外の価値観を認めず、その基準を他人に押し付ける。頼まれもしないのに姉や友人の恋愛に介入し、問題をよりややこしくさせる。「主観的には」いいことをやっていると思い、正義の実現に走っていても、「客観的には」周囲の人間関係を破綻させ、複雑な問題をより複雑にし、最後は自分自身も破綻してしまうのだ。(P.216)
MEMO:
著者の佐藤氏は、「くれぐれも漫画で基礎知識をつけようとしてはいけない」と述べる。それには大いに共感できるし、実際、漫画やアニメは最も誇張されたフィクションだ。
そのことを頭に入れたうえで、漫画には「社会の縮図」「人間と人間の関係の縮図」として類比(アナロジー)的に読むことができるとも述べている。「現実の社会や人間を理解する手がかりにすることができる」と。

具体的な漫画の読み方として、まず『巨人の星』を取り上げている。
30代より若い世代の人は、原作を読んでいる人の方が少ないのではないかと思われるが、佐藤氏の読み方には唸らされるものがある。少なくとも自分は、『巨人の星』をこんなふうに構造的に紐解きながら読んだことはなかった。

教養の差異と読み方の違いで、漫画から受け取れる意味も大きく変わってくるのだと感じ入る。
佐藤氏は結びで「若手ビジネスパーソンは、上司が子どものころに好きだった漫画をさりげなく聞き出してみよう。『巨人の星』の名前が出てきたら注意したほうがいい。」と述べる。
これが冗談なのかどうなのかは前後の文脈から読み取れないが、星飛雄馬型の人間が佐藤氏のこの言葉を信じることも注意したほうがいいのかもしれない。
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