サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ (中公新書)』の読書ノート作成者:masudakotaro さん
『2013/08/10 作成
(二酸化炭素中毒によって,後頭葉視覚野の広い範囲に損傷を受けた患者の知覚。認知機能に関する調査:「見えている」自覚がないが,行動で識別できる。)
1.この患者に線分を見せ,その方向の識別を求めると,言語報告によっても,または手で方向を示す動作によっても,まったくできなかった。垂直線を見せても,水平線を見せても,区別できないのだから,重篤な障害といわざるを得ない。ところが,患者の目の前に郵便箱か,あるいは自動販売機のコイン投入口のようなスロットを置き,そこにカードを差し込むように求めてみたところ,この患者はたちまち健常者とほとんど違わない成績を示した。
2.マッカロー効果:縞模様の方向に応じて違う色が見える特殊な色残効の効果。たとえば赤い横縞と緑の縦縞を交互にくりかえし見た後では,白黒の横縞部分は緑がかって,縦縞部分は赤みがかって見える効果。縞の方向は「見えていない」「識別できない」のに,それでも健常者と同じ色残効を報告できることから,縞模様の方向はある程度脳内で処理され,患者の知覚は間接的には反映されている。
「見えない」プライム刺激が,後の知覚情報処理に影響を与えている。それが何通りかの「間接的な」方法で示されている。知覚過程の測定可能な出力は複数あり,それぞれ異なる神経経路やメカニズムによる。したがって,それらの出力が食い違うことも珍しくない。さらに,そうした出力は意識レベルで「気づき」自覚できるものであったとしても,そこに至るまでの過程は自覚できない場合が多い。
「誤帰属」は知覚においてもあり得るのだろうか。自分の近くの根拠や原因を,ほんとうとは違う対象に「帰する」というようなことが起こりうるかどうか。
対象を知覚し,その距離を正確に判断する盲人の驚くべき能力。
1.高い周波数の反響音が手がかりになっている。
2.ほんとうは反響音を手がかりにしているのだが,その知覚過程は自覚できない。しかしその結果,「これ以上前に歩くと額が壁にぶつかるぞ」といった予期が生じ,額に緊張が走る。ところがこれは自覚できるので,自分の近くの原因をこの自覚でいる額の緊張に帰してしまう。
ソニック・ガイドあるいは超音波測定装置。
1.額の位置から超音波を発信し,対象からの反響音波を受信。それをさらに耳に聴こえる音に変調した上で視覚障害者に聞かせる。そして,たとえば対象までの距離は音の高低で,対象の大きさは音の大小で,対象のきめ(凹凸やざらつき)は音の透明度で,というふうに次元を決めて,外の世界や障害物についての手がかりを与える。
2.十分に早い時期からこうした装置を装着させた視覚障害児は,助けなしでも自由に遊び回れる程度にまで空間定位が可能になる。
1.この患者に線分を見せ,その方向の識別を求めると,言語報告によっても,または手で方向を示す動作によっても,まったくできなかった。垂直線を見せても,水平線を見せても,区別できないのだから,重篤な障害といわざるを得ない。ところが,患者の目の前に郵便箱か,あるいは自動販売機のコイン投入口のようなスロットを置き,そこにカードを差し込むように求めてみたところ,この患者はたちまち健常者とほとんど違わない成績を示した。
2.マッカロー効果:縞模様の方向に応じて違う色が見える特殊な色残効の効果。たとえば赤い横縞と緑の縦縞を交互にくりかえし見た後では,白黒の横縞部分は緑がかって,縦縞部分は赤みがかって見える効果。縞の方向は「見えていない」「識別できない」のに,それでも健常者と同じ色残効を報告できることから,縞模様の方向はある程度脳内で処理され,患者の知覚は間接的には反映されている。
「見えない」プライム刺激が,後の知覚情報処理に影響を与えている。それが何通りかの「間接的な」方法で示されている。知覚過程の測定可能な出力は複数あり,それぞれ異なる神経経路やメカニズムによる。したがって,それらの出力が食い違うことも珍しくない。さらに,そうした出力は意識レベルで「気づき」自覚できるものであったとしても,そこに至るまでの過程は自覚できない場合が多い。
「誤帰属」は知覚においてもあり得るのだろうか。自分の近くの根拠や原因を,ほんとうとは違う対象に「帰する」というようなことが起こりうるかどうか。
対象を知覚し,その距離を正確に判断する盲人の驚くべき能力。
1.高い周波数の反響音が手がかりになっている。
2.ほんとうは反響音を手がかりにしているのだが,その知覚過程は自覚できない。しかしその結果,「これ以上前に歩くと額が壁にぶつかるぞ」といった予期が生じ,額に緊張が走る。ところがこれは自覚できるので,自分の近くの原因をこの自覚でいる額の緊張に帰してしまう。
ソニック・ガイドあるいは超音波測定装置。
1.額の位置から超音波を発信し,対象からの反響音波を受信。それをさらに耳に聴こえる音に変調した上で視覚障害者に聞かせる。そして,たとえば対象までの距離は音の高低で,対象の大きさは音の大小で,対象のきめ(凹凸やざらつき)は音の透明度で,というふうに次元を決めて,外の世界や障害物についての手がかりを与える。
2.十分に早い時期からこうした装置を装着させた視覚障害児は,助けなしでも自由に遊び回れる程度にまで空間定位が可能になる。
masudakotaro さん
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