夜になるまえに』の読書ノート作成者:haruga6 さん
『2013/08/21 作成
そこでは生きられないことが分かっていた。むろん、あれから十年たったいま、追放者が生きられる場所はどこにもない、そんな場所は存在しないことが分かっている。なぜならぼくたちが夢を見た場所は、ぼくたちが風景を眺めたり初めて本を読んだり、最初に恋をした場所は夢に見る場所でありつづけるからだ。亡命地では人は幽霊に過ぎない。自分の完全な現実には決して到達することのない誰かの影に過ぎないのだ。亡命地に着いてからぼくは存在していない。その時以来、ぼくは自分自身から逃げはじめたのだった。
P378
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haruga6 さん
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