夜になるまえに』の読書ノート作成者:haruga6 さん
『2013/09/04 作成
そうした判決文や書類を持って僕は冬のスウェーデンを旅してまわった。あるときひどく荒れ果てたところで泊まったことを覚えている。そこは農民の家で、主人は女房に棄てられてすっかり打ちひしがれていた。招待してくれた委員会がどうしてぼくたちをそこに泊めることにしたのか分からない。たぶん他に泊めるところがなかったのだろう。ぼくはキューバにいるキューバ人たちが体験している孤独や絶望感を、自分の書類を全部使ってその男に分からせようとした。男は女房に棄てられたことを嘆くばかりだった。ぼくはどうして女房がもっと早くその男を棄てなかったのか理解できないまま、雪に埋もれて荒れ果てたその家を眺めていた。P392
haruga6 さん
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