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『隣人が殺人者に変わる時―ルワンダ・ジェノサイド生存…』からの引用(抜き書き)読書ノート

引用(抜き書き)隣人が殺人者に変わる時―ルワンダ・ジェノサイド生存者たちの証言』の読書ノート作成者:masudakotaro さん

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1994年のことである。ルワンダの「ニャマタ」という地域の丘で,ツチ系住民およそ5万9千人のうち約5万人もがマチェーテ(なた)を持ったフツ系の兵士や隣人たちによって虐殺された。この虐殺は4月11日(月)に始まり,5月14日午後2時まで続き,その間毎日欠かさず,午前9時半から午後4時のあいだに行われたのである。

【17歳,農婦,裁縫師】
ある日,インテラハムエがパピルスの葉の下にいるママを発見しました。ママが立ち上がり,お金を払うからマチェーテのひと振りで殺してくれと申し出たとき,彼らは服をはぎ取り,お金を奪いました。そして両腕を切り落とし,その後両足も切り落としたのです。(中略)殺し屋たちは,致命傷とすぐわかるようなきり方はしません。(中略)ママは激痛の中,死ぬまでの3日,耐えました。

【14歳,牛飼い】
僕の長姉は苦痛がないように殺してくれと,知り合いのフツに頼んだ。彼は「わかった」と返事をし,草むらまで彼女を引きずっていき,こん棒で一撃を加えた。しかし近くの人が,「彼女は妊娠している」と叫ぶと,ハキズマはナイフで彼女の腹を裂き,袋のように開いた。想像を絶する恐ろしい光景だった。

【38歳,教員】
フツの目に,私たちは人のようには見えず,動物のように映っていたのでしょう。フツは私たちを動物のように見ることになれていき,動物のように私たちを追いました。でも本当のところは,彼らが動物のようになって言ったのです。彼らは殺しやすいようツチの人間性を奪ったのですが,自身が獣以下に落ちていきました。なぜ,何のために殺しているのかが,もはやわからなくなっていました。彼らは狂ってしまったのです。あるインテラハムエは,身ごもったツチの女性を捕まえると,腹を切り裂くのです。ブチハイエナでさえ,そんな邪悪なことを考えないでしょう。

彼らは井戸の後ろに隠れている子どもを発見しました。小さな女の子でした。彼らは彼女を切り始めました。私は隠れながら,すべてを聞いていました。彼女は命乞いさえせず,ただ死ぬ前に少しだけつぶやきました。「主よ」。そんな言葉でした。そして,かすかな悲鳴をあげました。

戦争は知性と愚かさが原因であり,ジェノサイドは知性の喪失が原因です。当時を語るとき,いつも私をまごつかせるのは,殺人者のもつ邪悪さです。もし殺人をしなければならないのなら,ただ殺すだけでよかったのに,なぜ足や腕を切り落とさなければならなかったのでしょうか。

彼らは切断して不自由にするという,人間性までも奪う殺し方をしたのです。それは恐ろしい過ちです。

【22歳,農家】
ジェノサイドというのは,ある民族集団が別の民族集団を葬ろうとすることを指します。ジェノサイドは戦争よりも悲惨です。なぜなら,たとえその試みが成功しなかったとしても,その意思は消えることなく永遠に存続するからです。

【20歳,農家】
彼らは家族を捕まえると,まず父親を,次に母親を,最後に子どもたちを切りつけました。その結果,子どもたちはすべてを見てしまうことになったのです。

【21歳,農婦】
白人は,ジェノサイドは狂気の沙汰だったのだろうと言います。しかし,それは違います。ジェノサイドは入念に計画され,確実に実行された一つのプロジェクトです。

【34歳,ソーシャルワーカー】
涙を流すことでしか自分自身を表現できない子ども,そして「僕は泣いたのに,あいつらはパパとママを殺した。ぼくは泣いたのに,食べ物も屋根も手に入らなかった。ぼくは泣いたのに,学校にいくための物は何もない。もうぼくには自分ためにも,ほかの誰かのためにも泣きたいと思わない」と言う子どももいました。

殺人者を野放しにした白人を決して許すことはできません。虐殺したフツを決して許すことはできません。隣人が少女の腹を裂いて,赤ん坊を母親たちの目の前で殺すのを黙って見ていた者たちを許すことはできません。
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