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『別海から来た女――木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判』からの引用(抜き書き)読書ノート

引用(抜き書き)別海から来た女――木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判』の読書ノート作成者:masudakotaro さん

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【第一部 別海から来た女】
都会ならいざ知らず,牛の数が人間よりずっと多い酪農地帯にあって,司法書士という職業は,都会における弁護士よりずっと尊敬されただろう。木嶋佳苗はいわば,別海町のエリートとして育ったのである。

好きな言葉 一期一会・病は気から
嫌いなタイプ 不潔・貧乏・バカ

高校の卒業アルバムに載っている,同級生からとった様々なアンケートの集計結果:木嶋佳苗は「出世しそうな人」で三位,「大ざっぱだった人」「早く結婚しそうな人」「国際結婚しそうな人」「一番変わりそうな人」で二位,「玉の輿にのりそうな人で一位(いずれも女性中)となっている。(中略)佳苗は「早く離婚しそうな人」で三位,「不倫しそうな人」で二位,「子だくさんになりそうな人」と「アダルトビデオに出そうな人」では,堂々の一位となっている。

見た目は地味なデブなんだけど,本当は上品なお嬢さん。しかもカネも持っている。僕らは普通に子どもっぽかったけど,彼女は大人びていた。キジカナは高校生でありながら,すでに大人の世界にいたのかもしれません。(クラスメイトの証言)

真面目で上品なタイプでしたね。あれで美人だったら,相当にモテていたでしょうね。何かのことで僕が木嶋をバカにしたら,「あなたみたいな子どもっぽい人は相手にしないの」と言われたことがあります。(クラスメイトの証言)

死刑判決が出た直後に公開された木嶋佳苗の手記について:
■四百字詰め原稿用紙にして約三十枚にも及ぶこの手記を読んで,私の胸に迫ってきた言葉は一つもない。
■木嶋の手記を一言で評すれば,これはすべてどこかで聞いたことのある文章の切り貼り,パソコン用語でいえばコピペ(コピー&ペースト)である。いくら読んでも,木嶋が何のためにこの手記を書いたかわからない。
■自分が犯した罪に対する謝罪が一言もないことや,逆に何の罪も犯していないとするなら,その無実の者に死刑判決を出したことへの満腔の怒りもない。
■中身は何もないのに,文字を書くことだけは恐ろしく丁寧で,そこに向かって全精力が注がれている。これは異常な集中力の産物とも言えるし,外箱だけ華美だが,中は空っぽな宝石箱と同じで,木嶋の空疎な人間性を象徴しているとも言える。
■木嶋にはたぶん大きな欠損がある。もっと言うなら,木嶋は本人も気づかない深いところで,人間が壊れている。

「屈折した価値観を引きずったまま大人になり,自由奔放で浮世離れした暮らしがエスカレートし,ファンタジーの世界で生きることに逃避したのです」

佳苗の曽祖父も,祖父も,郷土の名士というにふさわしい非の打ちどころのない人物のようである。

木嶋は小学校時代に,母親が音楽を習っていたお宅から貯金通帳を盗んだ。

木嶋は多分生得的なサイコパス(反社会性人格障害)的人間である。

「佳苗は小さい頃,その家から通帳を盗んだらしいの。近所の人はみんな知っていたみたいよ。通帳には五百万円くらいあったって話よ」(飲み屋の女将の話)

佳苗は北海道の開拓村の生まれなどということはおくびにも出さず,父親は大学教授,私はフェリス女学院卒で皇太子妃雅子さまとは遠戚などとネットを通じて近づいた男たちに語っている。いずれも根も葉もないウソである。

息子は私らの姿を見つけるや,「なんでここに来るんだ!帰れ!お前らに話すことなんてない」と喚きながら,猛然と取材スタッフにつかみかかってきた。息子はそのあとも支離滅裂な言葉を弾丸のようにまくしたてた。「おまえらマスコミのせいで,母親は胃潰瘍になっちまったんだぞ!一年以内に母親は死ぬぞ!おまえらのせいだからな!店の売り上げも激減して生活もできねえんだからな!」母親も昂奮して,「あんたらのせいでこんな体になっちゃったんだ!ガンだって再発するかもしれないんだから!」などと口走り,最後はとうとう地べたに寝転がってしまった。(福山定男の息子と母親。福山=02年に木嶋佳苗とネットを通じて知り合い,不審死を遂げる07年8月まで,計約七千四百万円という大金を佳苗の銀行口座に振り込んでいた。)

自分で放火しておきながら,翌日,口を拭って息子に父親の安否を尋ねる。木嶋がこの事件の犯人ならば,そういう筋書きになる。

木嶋佳苗は上京後,日本ケンタッキー・フライド・チキンに入社し,その後,東洋大学経営学部に入学したが,学費未納で除籍処分となった。
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