『なぜ書くか: エリザベス・ボウエン/グレアム・グリーン/V・S・プリチェットの往復書簡集』の読書ノートリスト
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- 社会にとって不可欠の存在であっても作家を一個の贅沢品として規定し、社会の攻撃から逃亡し続けることによって作家の生命を保持しようとする姿勢がプリチェットにて顕著であるのに反して、生まれながらに孤独で気むずかしくて、社会との正常な関係をはじめから持たないボウエンにとっては、プリチェットのように積極的に社会から逃れる必要はない。彼女はプリチェットが意識的に志向しようとしているものを、いわば自然にそなえているのだ。~ ~プリチェットは自己の中に社会を侵入させないことによって作家的存在を成立せしめようとしているのであり、ボウエンでは自己が社会から切り離されているという条件を必須のものとしてのみ作家的存在は成立するのである。両者にはそういうヴェクトルの相違はある。だが生きる自己が社会との関係を失っていること、あるいは失うことが書く自己を成立させるという点では両者は結局同じ立場をとっていることになる。 P83-84(続きを読む)
haruga6 さん(2013/03/31 作成)