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『フランス文学精読ゼミ』からの引用(抜き書き)読書ノート

引用(抜き書き)フランス文学精読ゼミ』の読書ノート作成者:BafanaBafana さん

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作成
p.107
 ミノスとパジファエの娘 La fille de Minos et de Pasiphaée

ヴォルテール Voltaire(1694-1778)が、フランスで一番美しい詩句は?という問いに答えて挙げたのが、このジャン・ラシーヌJean Racine(1639-1699)作『フェードル』Phédre(1677)の一節だ。何で?外国人からすれば、字面だけでは「ポールとジャンの母」というのに等しい。「前置詞deは何度でも繰り返す」という初級文法の例文みたいだ。フェードルその人を指すこの句がギリシア神話世界の全体を浮かび上がらせる、という「文化的美」の根拠については今は論じない。これが12音節詩句(アレクサンドラン alexandrin)であること、この形がわれわれの五七五とか五七五七七とかと同じような文化的価値を担い、かつフランス詩形の中でもっとも荘重優美という連想をもたらすことにも注目しよう。

MEMO:
 フランス語において12音節詩句はもっとも美しい形であるようだ。日本語では、無味乾燥な法律の文面でも五七五の形をとっていると味がある(例えば、「学問の 自由はこれを 保障する」など)。日本人にとっては文法教科書の例文のような文章が、フランス人にとっては美しさを感じさせるということは大変興味深い。
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