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『サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ (中公…』からの引用(抜き書き)読書ノート

引用(抜き書き)サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ (中公新書)』の読書ノート作成者:masudakotaro さん

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 無自覚的故意性が何らかのかたちで立証された場合にはどうだろうか。自覚的な場合と同じ罪にすべきか,あるいは無自覚的にも故意性が存在しない場合と,同じ処理をするべきか。
 責任の概念
1. 自由意思論に基づく古典主義:自由意思はすべての人間が持っている。そう考えて古典主義は行為者を捨象し,行為を前面に押し出す。自由主義に基づく罪刑法定主義であり,犯罪と刑罰との均衡を求める考え方。
2. 機械的決定論に基づく近代主義:罰せられるべきは行為ではなく,社会的危険性を持つ犯人自身であるとして,個々の犯罪人を対象にする。犯罪を個人の資質と社会環境との交互作用の必然的結果と見るため,行為者の自由意思を否定するか,あるいは自由意思の問題は刑法上直接の意味はないとする決定論の立場をとる。
 行為能力の前提には,意思能力(=自分の行為の結果を判断する能力)が必要とされる。
 自覚能力の欠如,すなわち自己の行為を客観的に記述し,規範に照らして評価する能力(=自覚的過程)の有無が問題とされる。
 人を普通に拳銃で殺せば間違いなく重い罪に問われるが,十人以上連続的に殺して,その死体とセックスするか,食べるか,それとも皮を剥いで飾るか,とにかくできるだけ残虐で常軌を逸した行動をとればとるほど,無罪を勝ち取るチャンスも広がる。
 「本人に選択の余地がなかったのなら,本人の責任ではない」「環境と本人の持って生まれた資質が問題を起こした」という論理。
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