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『夜になるまえに』からの引用(抜き書き)読書ノートリスト

引用(抜き書き)『夜になるまえに』の読書ノートリスト

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  • ぼくの新世界は政治力に支配されていなかったが、同じくらい忌まわしいもう一つの力、つまり、金力に支配されていたのだ。何年かこの国で暮らしてみて、ここは魂のない国であることが分かった。すべてが金次第なのだから。P401 (続きを読む
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haruga6さん
haruga6 さん(2013/09/04 作成)
  • 作家本人とは距離を置いて作品を読んでいるほうがいい、ひどい幻滅を感じるかもしれないから個人的に知り合わないほうがいいとぼくはずっと思ってきた。レサマやビルヒリオ・ピニェーラ、リディア・カブレラとの友情は、三人は人間的にも非凡な人間だったが、離散や中傷がその跡を残していた。やがてぼくは多くの著名な、何人かは有名すぎるほどの作家と知り合ったが、触れないでおきたい。作品を読んでいるときのほうがずっと近くに感じられたのだ。幸いぼくはそうした作家たちの自惚れを忘れてしまっている。それにこの回想録を文学論文にも、また重要と思われている人物との付き合いを公開する報告書にもしたくなかった。というのも、結局のところ、重要というのはいったいどういうことなのだろう。p393(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2013/09/04 作成)
  • そうした判決文や書類を持って僕は冬のスウェーデンを旅してまわった。あるときひどく荒れ果てたところで泊まったことを覚えている。そこは農民の家で、主人は女房に棄てられてすっかり打ちひしがれていた。招待してくれた委員会がどうしてぼくたちをそこに泊めることにしたのか分からない。たぶん他に泊めるところがなかったのだろう。ぼくはキューバにいるキューバ人たちが体験している孤独や絶望感を、自分の書類を全部使ってその男に分からせようとした。男は女房に棄てられたことを嘆くばかりだった。ぼくはどうして女房がもっと早くその男を棄てなかったのか理解できないまま、雪に埋もれて荒れ果てたその家を眺めていた。P392(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2013/09/04 作成)
  • キューバでは知らなかった動物群をいま発見していた。つまり贅沢な共産主義者という人種を。ハーバード大学でのある祝宴の最中、一人のドイツ人教授が「君がキューバで苦しんだかもしれないということはある程度理解できるが、私はフィデル・カストロを大いに称賛しており、カストロがキューバで行ったことにはとても満足している」とぼくに言ったのだ。そのときその男は料理を乗せた大きな皿を手にしていた。ぼくは「あなたがフィデル・カストロを称賛することはとってもいいことだと思う。でもそうなら、あなたは食べ物が乗ったその皿を持っているわけにはいかない。キューバに住んでいる人は、将校を別にしたら誰一人としてこんな食べ物を食べられないからだ」と答えた。そして、その教授の皿をつかんで、壁に投げつけた。 p373(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2013/08/21 作成)
  • マイアミに着いたときぼくはいくつか声明を出したが、人にはあまり気に入られなかったと思う。「キューバが地獄なら、マイアミは煉獄です」と言ったからだ。 P378(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2013/08/21 作成)
  • そこでは生きられないことが分かっていた。むろん、あれから十年たったいま、追放者が生きられる場所はどこにもない、そんな場所は存在しないことが分かっている。なぜならぼくたちが夢を見た場所は、ぼくたちが風景を眺めたり初めて本を読んだり、最初に恋をした場所は夢に見る場所でありつづけるからだ。亡命地では人は幽霊に過ぎない。自分の完全な現実には決して到達することのない誰かの影に過ぎないのだ。亡命地に着いてからぼくは存在していない。その時以来、ぼくは自分自身から逃げはじめたのだった。 P378(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2013/08/21 作成)
  • キューバ人には破壊主義的なところが、人を妬むような傾向がある。一般的に大多数の人は偉大さに我慢ならないし、誰かが突出することに耐えられず、あらゆる人を同じ凡人のレヴェルに揃えようとしたがる。これは許しがたいことだ。 P376(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2013/08/21 作成)
  • 島ではぼくたちは沈黙を、追放を、検閲をそして、刑務所入りを強いられた。亡命先では同じ亡命者たちから軽蔑と忘却を。 P376(続きを読む
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    haruga6 さん(2013/08/21 作成)
  • マンゴの木の下で、小さなテーブルを前にして本にサインしている年老いた女性がいた。それがリディア・カブレラだった。ハバナにある広い別荘を、広い書斎を、自分の過去をいっさい棄てて、いまはマイアミのつましいアパートで暮らし、野天で、マンゴの木の下で、自費出版した本にサインしている。そんな姿を見て、目の見えないリディアが偉大さを、そしてキューバでも亡命先でも他の作家にはもう残っていない反骨心を体現していることがわかった。ぼくたちの歴史で最も偉大な女性の一人、だが、すっかり片隅に追いやられ忘れられていた。 P376(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2013/08/21 作成)
  • 共産主義体制と資本主義体制の違いは、いずれの体制もぼくたちの尻を蹴飛ばすものですが、共産主義体制では蹴飛ばされると拍手をしなくてはならない、ところが資本主義体制では蹴飛ばされると叫ぶことができるということです。ぼくはここに叫びたいのです。 P371(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2013/08/21 作成)
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