幻影の書』の読書ノート作成者:saruru さん
『2015/07/16 作成
ヘレンのクローゼットのなかに立って彼女の服に触り、ジャケットやセーターを並べ直し、ハンガーからドレスを取り上げて床に並べた。あるときには一着を自分で着てみたし、また一度は彼女の下着を着て彼女の化粧品を顔につけてみた。それはひどく心地よい体験だったが、さらに実験を繰り返してみると、口紅やマスカラより香水の方がいっそう効果があることが判明した。香水の方が、彼女をより生き生きとよみがえらせてくれるように、より長時間彼女の存在を喚起してくれるように思えた。
MEMO:
声を聞くことも姿を見ることも触ることももはや永遠に出来ない相手。匂いというのは、唯一そこなわれずに再現出来うる感覚だろうか。姿は見えなくとも傍にいる気配のように。

saruru さん
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