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『サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ (中公…』からの引用(抜き書き)読書ノート

引用(抜き書き)サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ (中公新書)』の読書ノート作成者:masudakotaro さん

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閾下知覚あるいは潜在知覚の証拠には三通りぐらいある。これらはいずれもまずプライム刺激にマスクをかけて見えにくくしている。そして閾下の「見えていない」条件のもとで,それでも後の知覚や行動に効果があることを,何らかの間接的な方法で示している。
1.間接プライミング効果によるもの。
2.プライミング-ストループ法によるもの。
3.選好,つまり好き嫌いの判断。見覚えはなくても,実際に見た経験のあるものは好きになるという効果。

クラツキーは意識を「オンラインのアウェアネス(気づき)」と定義。この意味の意識は「注意」とほぼ対応し,したがって「前注意過程」のほうは無意識的・無自覚的な情報処理過程ということになる。

クラツキーはまた,自動的な処理と注意による処理とを区別した。
1.自動的処理=無意識的処理:目的や課題,本人の意図や構えにかかわらず,刺激によって駆動され自動的に立ち上がってしまう処理過程。
2.注意による処理=意識的処理:本人の意図や構え,努力によって制御の効く処理過程。

注意には刺激依存性のものと自覚的で意図的なものと少なくとも二種類ある。意図的な注意は遅くてより持続的だが,なにか新しい刺激があると刺激依存性のすばやい機構が一瞬の間だけ打ち勝って,注意の焦点が一瞬の間だけそちらに移ってしまう。

「ポップアウト効果」:課題や努力に関係のない自動的な注意。

より重要そうな情報だけをさらなる処理のために残し,残りを捨てるフィルターの役割をするのが人間の注意。

より重要な情報だけをどうやってすばやく選択するのか,選択に必要な「前処理」の実態は何か。

私たちはとかく見えたか見えなかったか,知覚できたかできなかったかというふうに,オール・オア・ナッシングに捉えがちだが,実際にはそうではない。知覚とは,複数のレベルから成り立っている現象だと考えるべき。「見えた」あるいは「あった」という反応は,知覚の測定可能な出力が複数あるうちの,特別なひとつであるにすぎない。

外の現実世界についてのアウェアネスを伴う知覚は,何段階もある前意識的処理の,最終的な産物であるにすぎない。

「初期視知覚過程」=「前注意過程」の存在の証拠(特徴)。
1.刺激依存的。つまり刺激によって駆動される。
2.自動的・盲目的。この刺激による駆動は有無をいわせないもので,それが課題と関係がなくても,また本人の意図でなくても,さらに知識や予見にかかわらず,起こってしまう。
3.局所的で並列的。視野内のあらゆる狭い場所で,処理は同時並行的に進行する。
4.無意識的。その過程の結果は意識的に体験できても,そこに至るプロセスは自覚できない。

視知覚情報処理の大部分は,われわれの意識にとってアクセス不能であり,われわれはたかだかその処理の結果(=出力)を知覚現象として経験するにすぎない。
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