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『スティーブ・ジョブズ I』からの引用(抜き書き)読書ノート

引用(抜き書き)スティーブ・ジョブズ I』の読書ノート作成者:masudakotaro さん

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 マッキントッシュのオペレーティングシステムを作っていたラリー・ケニヨンのところへ行き,マシン立ち上げの時間がかかりすぎると文句を言ったこともある。説明しかけたケニヨンにかぶせるようにジョブズは訊ねた。「仮に起動時間を10秒短くするだけで人の命が救えるなら,そうしようと考えるかい?」そうするだろうとケニヨンが答えると,ジョブズはホワイトボードに数字を書きはじめた。世界中で500万人がマックを使うようになった場合,1日10秒,起動時間が余分にかかると,年間,3億時間ほどの違いになる。言い換えると,1年間で100人分以上の人生に相当する時間が節約できるというのだ。
 「スティーブは,全体像をとらえることで,社員のモチベーションを上手に高めるのです。」その結果,マッキントッシュチームは是認がジョブズの情熱を共有するようになった。利益だ出るだけの製品でなく,すごい製品を作りたいとい情熱だ。
 「ジョブズは自分をアーティストだと考えており,設計チームンメンバーにもそう考えるようしむけました。目標は競争に打ち勝つことでもなければお金を儲けることでもありません。可能な限りすごい製品を作ること,いや,限界を超えてすごい製品を作ることでした。」
 ジョブズのやり方には,もうひとつ,良い点があった。画期的な製品を作ろうという情熱と,不可能に見えることでもやり遂げられるという信念をアップル社員に植え付けたのだ。マッキントッシュチームは「週90時間,喜んで働こう!」というTシャツを着て働いた。ジョブズに対するおそれと彼に認められたいという強い想いを原動力に,自分が思いもしなかったほどの働きをした。
 「優れた人材を集めれば甘い話をする必要はない。そういうものだと僕は学んできた。そういう人は,すごいことをしてくれると期待をかければすごいことをしてくれるんだ。特A+のプレーヤーはそういう人同士で仕事をしたがるし,Bクラスの仕事でもいいと言われるのを嫌がる。」
 洗練を突きつめると簡潔になる。
 デザインをシンプルにする根本は,製品を直感的に使いやすくすることだとジョブズは考えた。両者は必ずしも両立しない。デザインは流麗でシンプルなのに,使うのが怖く感じたり,なにをどうしたらいいのかよくわからなかったりという場合もある。ジョブズは,大勢集まったデザインの専門家を前に語った。「我々がデザインの主眼に据えていますのは,直感的に物事がわかるようにする,です。」
 ジョブズは,ウィンドウやドキュメント,スクリーンの頂部に表示されるタイトルバーにもたっぷりと注意を払った。どうもピンとこないとうなっては,アトキンソンとケアに何度も何度もやり直しを命じる。「満足してもらえるまで,タイトルバーだけで20回はやり直したともいます。」とアトキンソンは言う。ケアとアトキンソンは,タイトルバーをちょこちょこいじるよりほかにもっと大事なことがあるのでは,と文句を言ってしまったこともある。すぐさま怒鳴り声が返ってきた。「毎日見るものなんだぞ!ちょっとしたことじゃない。ちゃんとやらなきゃいけないことなんだ。」
 「引き出しが並ぶ美しいチェストを作るとき,家具職人は背面に合板を使ったりしません。壁にくっついて誰に見えないところなのに,です。つくった本人にはすべてわかるのです。だから,背面にも美しい木材を使うのです。夜,心安らかに眠るためには,美を,最初から最後まで貫きとおす必要があるのです。」
 ジョブズはまた,マッキントッシュのキーボードから矢印キーをなくしてしまった。カーソルを動かす方法はマウスだけ。旧来のやり方に慣れたユーザーにもマウスを使わせようというわけだ。製品開発の常識に反しているが,ジョブズは顧客が常に正しいとは考えていない。マウスを使いたがらない人は間違っていると考える。顧客の要求を満たすよりも偉大な製品を作ることを優先する姿勢が表れた一例と言えるだろう。
 1月の研修会でジョブズが訴えたことがもうひとつある。「海軍に入るより海賊になろう」だ。どのようなものにも立ち向かう反逆者魂を持ってほしい,むちゃくちゃをしながらどんどん先に進む冒険好きになってほしい,自分たちがしていることに誇りを持ちながら,まわりから次々と盗むチームになってほしい,と思ったからだ。
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