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『ヴェネツィアが燃えた日 世界一美しい街の、世界一怪…』からの引用(抜き書き)読書ノートリスト

引用(抜き書き)『ヴェネツィアが燃えた日 世界一美しい街の、世界一怪しい人々』の読書ノートリスト

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  • アメリカの紳士はもはや真の紳士ではない、、、彼らには完全な自己抑制を伴う自尊心が欠けている。それは本来、名家の紳士として生まれ、申し分のない教育を受け、十分な家産を持ち、自己と他者の立場をわきまえている者には自然に備わっているものだったのに P189(続きを読む
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haruga6さん
haruga6 さん(2012/11/19 作成)
  • フェニーチェでは、オペラの上演中も客席の照明が完全に消されることはなかった。照明は仄暗い状態が保たれたため、観客は上演中も周囲の彫像を見ることができたんだ。そのとき、彫像は観客の同伴者になった。たとえ劇場に一人で出かけたとしても、周囲の彫像が観劇の相手になってくれたのさ。こういう関係を、現代のモダンな劇場は一切顧慮しない。焦点はひたすら舞台にあって、そこで演じられているものこそが神聖なんだ。観客は静寂を保って、じっと見入らなければならない。現代の劇場は無味無臭の場所であって、優秀な音響効果と、見晴らしのよさは保っていても、温かみのある場内の装飾が一切ない。そこにはもはや共に観劇を楽しんでくれる相手がいないんだよ。 P131(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/11/19 作成)
  • というのも、イタリア人にとって、オペラとは単に舞台で演じられる芸術にとどまらないんだよ。オペラを観に行くとはどういう体験かといえば、まずは胸躍る期待からはじまり、その夜のための盛装をし、劇場に向かい、その夜のメイン・イヴェントが演じられる場所に入ってゆく。つまり、一連の愉しみがしだいに深みを増してゆく、一種の祭儀なんだな。舞台が寺院であろうと、円形闘技場であろうと、劇場であろうと、すべての祭儀がそうであるように、そこに至るまでのセッティングこそはその体験の重要な一部なのさ。メドゥーナが企図したのは、劇場内部の装飾が観客席において最高潮に達することだった。 P130(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/11/15 作成)
  • 人々は小さな広場で芝居を演じたり仮装パーティに興じたりした。その興奮がほどなくヴェネチア全域に広がり、観光客も加わって、ついには商業的なイヴェントに発展した。何よりも目立つそのシンボルが、街中に増殖した仮面ショップだったと言っていいだろう。それは色彩とファンタジーにあふれた小さな店舗で、派手な照明を施したショウ・ウインドウは暗い路地を一年中明るく照らし出した。たちまちのうちに、仮面はヴェネチアを訪れる観光客好みのイコンになった。が、新しい仮面ショップが一軒オープンするたびに、青果店やパン屋や肉屋が一軒減って、市民たちを慌てさせた。彼らはトマトや食パンを買うために、従来の2倍も遠いところまで歩いて行かざるを得なくなったのである、仮面ショップは、ヴェネチアという街が、その住民の暮らしの利便性を犠牲にして観光ブームに屈した、嘆かわしいシンボルになったのだった。 P126(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/11/15 作成)
  • 「たしか、サン・マルコ広場には鳩の餌を売るスタンドが八つありますね。あれを全部撤去する、というのはどうです?」 「ええ、たしかにそれは理にかなった案ですな」 「でも、実現できない、と。なぜできないんですか?」 「理由は二つあります。一つ。ヴェネチアとしては、観光客に楽しんでもらいたい。で、観光客が何より楽しみにするのは鳩との出会いなのです。二つ。信じられないかもしれませんが、トウモロコシを一袋四リラで売るのは、途方もなく儲かるビジネスなのです。だから、あのスタンドのオーナーたちは、喜んで三億リラ(15万ドル)の専売特権を市に払うのですよ。しかし、その一方で我々は、鳩に餌を与えられる地区を厳しく制限しています。それはサン・マルコ広場でのみ合法で、それ以外のいかなる地区でも禁じられているのです。サン・マルコ広場から十歩でも外に出たところで鳩に餌を与えている現場を見つかったら、10万リラの罰金を科されますからね」 「そいつは馬鹿げた話ですね」 「馬鹿げた話どころじゃありませんな」スカットリン博士は言った。「理屈に合わないし、偽善的だし、無責任だし、危険だし、不正直だし、堕落しているし、不公正だし、完全に狂っています」彼は深々と椅子にもたれた「わがヴェネチアにようこそ」(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/11/15 作成)
  • フェニーチェの火災の、だれもが内省を強いられた余波のなかで、ヴェネチア人は私自身が自分に発したい問いを自らに投げかけているようだったーーそれはつまり、かくも超俗的で自然に反した環境で暮らす意味はいったい何なのだろう、という疑問である。かつてヴァージニア・ウルフが ”陽気で、神秘的で、無責任なすべてのものの遊び場” と呼んだものが、果たしていまのヴェネチアには残っているのだろうか?(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/11/15 作成)
  • オペラ歌手のルチアーノ・パヴァロッティは、フェニーチェ再建資金を募るコンサートを行うと発表した。プラシド・ドミンゴも、負けじと、自分もコンサートを行う、ただし、会場はサン・マルコ大聖堂で、と発表した。パヴァロッティはやり返したーー自分もサン・マルコ大聖堂でコンサートを行うが、自分以外のだれとも合唱は行わない。すべてが順調なら、その月末、改装になったフェニーチェではウディ・アレンのジャズ・バンドが記念演奏を行うはずだったのだが、当のアレンは記者に対して、放火したのは荘厳な音楽の愛好家だったんだろうね、と語った。彼はつづけて言った。「ぼくの演奏が聞きたくなかったのなら、そう言ってくれればよかったんだよ」 P49(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/11/15 作成)
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