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marie1127 さんのプロフィール

marie1127 さん
女性  愛知県 

自己紹介

蛙と本とアルコールをこよなく愛する日々。
母親が司書なのもあって、ものごころついた頃から読書が日常でした。
書店員として4年間働いていたことも。

ジャンル問わず手当たり次第読むけど、ファンタジーとかサイエンス要素はちょっと苦手…。
海外小説は登場人物の名前が覚えられないので、読破出来た試しがありません…。
誰か、コツがあったら教えてくださりませ(;つД`)
妖怪と歴史と耽美が大好物!!!
京極夏彦に出逢ったことで、あたしの読書人生は変わった、と言っても過言じゃない。

気軽に絡んでくださると、泣くほど喜びます。
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  • 桜の首飾り

    桜の首飾り

    千早 茜 / 実業之日本社 / 文学・評論

    桜なんて毎年咲くのに、いつだって見る度に目を奪われて、懲りもせず胸に切ないものが込みあげてくる。幸福な夢のような日々がまたぽっと咲くのではないかと期待してしまう。諦めても、諦めても。どんなに身体や心が醜く歪んで老いていっても。春の嵐はいつだって吹き荒れる。 ゆきちゃんは怖いものがないわけじゃない。捨てられない想いがまだあるから彼女も桜が苦手だったのだろう。希望や夢や美しさを恐れてしまううちは、きっと手遅れではない。明日へと続く何かはまだ彼女の中に残っている。そして、春はまたやってくる。 (中略) たとえ一瞬で消えてしまうとしても、花がなくては人は生きてはいけない。心騒がすものが心の在りかを教えてくれるのだから。あの嵐はなんと柔らかく私の心を揺さぶったことか。(続きを読む
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    2013/12/24 作成
  • 桜の首飾り

    桜の首飾り

    千早 茜 / 実業之日本社 / 文学・評論

    噓の名前で呼ぶと彼女は喜んだ。男が言った通りだ。きっと、彼女には何も信じるものがなかったのだ。少女のように無邪気で澄んだ声で笑いながらも、時々半ば捨て鉢に生きている風に見える時があった。(続きを読む
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    2013/12/18 作成
  • 桜の首飾り

    桜の首飾り

    千早 茜 / 実業之日本社 / 文学・評論

    けれど、美味しいものを口に入れた瞬間の人間は無防備だ。どんなに気難しい人でも、けっして噓はつけない。その人の素の表情が見られるのよ。桂子はよくそう言っていた。つらい記憶も、ささくれた気持ちも、美味しいものは一瞬癒してくれる。(続きを読む
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    2013/12/18 作成
  • 桜の首飾り

    桜の首飾り

    千早 茜 / 実業之日本社 / 文学・評論

    あたしは学校を休んでばかりだから頭がとても悪いけど、クラスの子たちより言葉を知っていると思う。言葉の数とかじゃなくて、その意味や味を知っている。例えば、失望とか、屈辱とか、羞恥とか、後悔とか、孤独とか。だって、あたしはそれらの言葉を口に入れて、噛みしめて、涙がにじむくらいその苦みを舌に浸み込ませて、やっと飲み込んできたから。そして、飲んだ後もその言葉たちによって内臓をぐちゃぐちゃにされたから。本当に、よく知っている。(続きを読む
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    2013/12/18 作成
  • 桜の首飾り

    桜の首飾り

    千早 茜 / 実業之日本社 / 文学・評論

    「意味はあるよ」 俺を見上げる。 「私は彼氏のこと好きだったよ」 「そんなことされてもか」 「うん。いいの、好きだったから。殴られても、大喧嘩しても、追いだされても、私は好きだったよ。誰に笑われても、騙されているって言われてもいいの。だって私は精一杯愛したもの。それに悔いはないから。だから、今こんなでも笑える。今回は失敗したけど、また、誰かを好きになりたいって思える」 アイラインに滲んだ目でまっすぐ俺を見つめる。苦笑した。 「馬鹿だなあ、お前」 香澄はわざと嘲りを含ませた俺の言葉に動じなかった。にっこりと笑う。 「馬鹿じゃ駄目なの?少なくとも私は弱虫じゃない。やれることはやった。それでいいの」(続きを読む
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    2013/12/18 作成
  • 桜の首飾り

    桜の首飾り

    千早 茜 / 実業之日本社 / 文学・評論

    「ですから、そういうものだからです。理由なんてありません。昔は人智を超える出来事が常だったのですよ。目先の善悪に囚われてはいけません。すぐに出る答えになんか大した価値はないのですよ。答えなんかない方が当たり前なのですから、本当はね」(続きを読む
    2,451 Views
    2013/12/18 作成
  • 桜の首飾り

    桜の首飾り

    千早 茜 / 実業之日本社 / 文学・評論

    「馬鹿らしくって関わっていられないって感じですか」 そういうわけじゃない。けれど、説明しても無駄な気がする。画びょうで壁にぎゅっと貼りつけるような言い方だった。(続きを読む
    2,643 Views
    2013/12/18 作成
  • 桜の首飾り

    桜の首飾り

    千早 茜 / 実業之日本社 / 文学・評論

    けれど、今のところ老いとは、見えないものが増えていくことのように感じる。それは、肉体的には細かい字だったり、看板だったり、精神的には一般常識だったり、自分自身だったり、他人の感情だったりしているようだった。まるで、どんどんせばまっていく透明の箱に閉じ込められているように見えた。いつかそれが自分にも訪れるかと思うと、空っぽの胃袋みたいなすうすうした気分になった。(続きを読む
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    2013/12/18 作成
  • 弱法師

    弱法師

    中山 可穂 / 文藝春秋 / 文学・評論

    わたしは強いのではない。 まだ誰かを死ぬほど愛したことがないだけだ。 愛するひとにこのからだを愛撫され、その手のかたちで捏ねられ美しく磨き立てられた賜物のような乳房をいまだ持たず、持たざるがゆえに失う悲しみもいまだ知ることがないだけだ。 愛するひとが黄泉の国へ旅立つとき、あの世への手土産に丹精した乳房を差し出すような、なりふりかまわぬ捨て身の恋を一度もしたことがないだけだ。 喉から血を流していとしい誰かの名前を呼び続けたことも、胸の谷間から脂汗を流してかつてそこにあったやさしい手の記憶を反芻し続けたこともない。 わたしは恋も、愛も、天国も、地獄も、何も知らない。 できることなら、こんなふうにぼろぼろになっても、胸がぺしゃんこに潰れるような思いをしても、年を取りすぎた大きい天使になっても、狂ったように愛し愛され、いとしい誰かと手に手を取ってこの世の淵からこぼれ落ちたい。打ちのめされ、追い詰められ、虚無に向かって行進していくような人生でもかまわない。 こんなふうに誰かを、ただひとりのひとを、一生かけて、馬鹿みたいに愛したい。 そうすれば母の人生が、苛烈ではあったけれど不幸ではなかったのだと信じることができるような気がするのだ。 そうして初めて、わたしはわたし自身の罪深い生を受け容れ、赦すことができるような気がするのだ。 そして明日も今日のように生きていけるような気がするのだ。(続きを読む
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    2013/08/07 作成
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