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『ノンフィクション』関連の引用(抜き書き)読書ノートリスト

引用(抜き書き)『ノンフィクション』関連の読書ノートリスト

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  • 司馬遼太郎さんに倣って東アジアの「海道をゆく」
    (p234)小笠原島が捕鯨船の薪水補給基地として…注目…島に移住を試みる欧米人…。最初に移住…は1830年で、米国人ナザニール・セボレー、英国人リチャード・ミリチャンプ、マテオ・マザロ等5人と彼等の妻となるハワイやポリネシアの先住民を引き連れての総勢23人で…豚などの家畜、種子とともに現在の二見港に上陸し英国旗を掲げた。  その後、仲間内で考え方の違いや仲違い、死亡などで、最後まで島に残ったのは米国人ナザニエル・セボレーとその家族だけとなった…末裔は…1946年に135人…当時の島民は約八千人…  移住の頃は小笠原は英国領として国際的認知が進んでいた。ところが…熱がさめたように…こだわりを捨て領有権は(アメリカ海軍アジア提督の)ペリーの軍政下に置かれていく。  ペリーの支配下、セポレーを長とする“ピール島=父島植民政府”が成立。ペリーは小笠原を琉球とともに日本本土を開国する前進基地と考えていたようである。 (p236)1854年…日米和親条約を締結…英国に代わって米国がアジア太平洋の覇権を握った歴史的瞬間であった。小笠原諸島の日本領帰属は、その大いなるプレゼント…(続きを読む
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    midnightwakeuperさん
    midnightwakeuper さん(2013/10/26 作成)
  • スティーブ・ジョブズ II

    スティーブ・ジョブズ II の引用ノート

    ウォルター・アイザックソン / 講談社

     「文系と理系の交差点,人文科学と自然科学の交差点という話をポラロイド社のエドウィン・ランドがしているんだけど,この『交差点』が僕は好きだ。魔法のようなところがあるんだよね。イノベーションを生み出す人ならたくさんいるし,それが僕の仕事人生を象徴するものでもない。アップルが世間の人たちと心を通わせられるのは,僕らのイノベーションはその底に人文科学が脈打っているからだ。すごいアーティストとすごいエンジニアはよく似ていると僕は思う。どちらも自分を表現したいという強い想いがある。たとえば初代マックを作った連中にも,詩人やミュージシャンとしても活動している人がいた。1970年代,そんな彼らが自分たちの創造性を表現する手段として選んだのが,コンピュータだったんだ。レオナルド・ダ・ビンチやミケランジェロなどはすごいアーティストであると同時に科学にも優れていた。っミケランジェロは彫刻のやり方だけでなく,石を切り出す方法にもとても詳しかったからね。」  「僕はまわりに激しくあたった。あそこまで厳しくなくてもよかったんじゃないかとも思う。社員をひとりクビにした日,6歳のリードが家に帰ってきたときに『今日,失業したんだと家族や小さな息子に話さなきゃいけないなんて,彼はどういう思いをするんだろう』って考えてしまった。つらかったよ。でも,誰かがやらなきゃいけないんだ。チームをすばらしい状態に保つのは僕の仕事だとずっと思ってきた。僕がやらなきゃ誰もやらないんだ。」 (続きを読む
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    masudakotaroさん
    masudakotaro さん(2013/09/08 作成)
  • スティーブ・ジョブズ II

    スティーブ・ジョブズ II の引用ノート

    ウォルター・アイザックソン / 講談社

     「一番強調したいのは『集中』だ。もっと大きくなったとき,どういうグーグルであってほしいのかをはっきりさせなきゃいけない。いまはなんでもありの状態だ。5つの製品に集中するとしたらどれを選ぶ?ほかは全部やめてしまえ。足を引っ張られるだけだ。あれもこれもではマイクロソフトになってしまう。そんなものにかかわっていたら,リーズナブルだけどすごくはない製品しか出せなくなってしまう。」  ジョブズの個性と製品をひとつにまとめる“統一場理論”は,もっとも目立つ彼の特質,すなわち激しさが起点となる。ジョブズの場合,沈黙は怒鳴り声と同じように熱くなりうる。  この激しさがもたらす結果のひとつが,白黒二分の世界観だ。同僚は皆,ヒーローかまぬけに二分してしまう。1日のうちにヒーローからまぬけへ,あるいはその逆に変化することもある。同じことが製品やアイデア,はては食品についても言える。「史上最高」でなければ「くだらない」か「無能」か「食えたものじゃない」のだ。だから,ほんの少しでも欠陥があると感じれば,がんがんに怒りちらすことになる。金属部分の仕上がりしかり,ネジの頭のカーブしかり,入れ物の青みしかり,ナビゲーションの直感的な分かりやすさりかしで,ある瞬間に「完璧だ!」と宣言する直前までは「徹底的にお粗末」なのだ。自分をアーティストだと考えているし,実際そのとおりでもあり,アーティストらしい激しい気性に身を任せるわけだ。  ジョブズの激しさは,その集中力にも表れている。いったん優先順位を決めるとレーザーのように注意を集中し,気をそらすものはすべてフィルターで取り除いてしまう。(中略)なにかを熱心に進めるときの彼はねばり強い。しかし,法的な障害や事業上の問題,がんの診断,家庭責任など,向き合いたくないことがあると断固として無視してしまう。この集中力があるからジョブズは「ノー」と言える。コアとなるごくわずかな製品以外,すべてを切り捨ててアップルを復活させた。ジョブズはボタンをなくして機器をシンプルにする,機能を減らしてソフトウェアをシンプルにする,オプションを切り捨ててインターフェースをシンプルにするのだ。  他人を傷つけるフィルターがジョブズにはないのか,それとも,フィルターをわざと外しているのか,どちらなのか家族さえもはかりかねている。本人にぶつけてみたところ,前者だとの回答が返ってきた。「僕はそういう人間なんだ。違う人間になれと言われても無理だよ。」でも,その気になりさえずれば自分をコントロールできるのではないかと私には思える。ジョブズは,相手の気持ちがわからないからきずつけているわけではない。その逆で,相手を値踏みし,なにを考えているのか理解した上で,そこに寄りそう,おだてる,傷つけるなどを意のままにする力を持っている。  意地悪でなければならなかったとは思わない。メリットよりデメリットのほうが多かったはずだ。ただ,そんな彼だからできたこともある。他人を傷つけないように気を遣う優しくて礼儀正しいリーダーは,無理やり変化させる力が弱い。ジョブズがさんざんひどい目に遭わせた何十人もの同僚に話を聞いたが,彼のおかげで,それまでできると考えもしなかったことができたと,皆,判で押したように悲惨な体験談を締めくくるのだ。  ジョブズは頭がいいのだろうか。いや,それほどいいわけではない。むしろ天才,ジーニアスなのだ。彼の想像力は,予想もできない形で直感的にジャンプする。ときとして魔法のように感じるほどだ。数学者,まーく・カッツが言う「魔法使いのような天才」とは彼のような人間を指すのだろう。どこからともなく着想が湧いてくる人物,知的な処理能力よりも直感で正解を出してしまうタイプの人間だ。丸で探検家のように,ジョブズは周囲の状況を把握し,風のにおいをかぎながら,先になにがあるのかを感じ取る。  「僕は,いつまでも続く会社を作ることに情熱を燃やしてきた。すごい製品を作りたいと社員が猛烈にがんばる会社を。それ以外はすべて副次的だ。もちろん,利益を上げるのもすごいことだよ。利益があればこそ,すごい製品を作っていられるのだから。でも,原動力は製品であって利益じゃない。スカリーはこれをひっくり返して,金儲けを目的にしてしまった。ほとんど違わないというくらいの小さな違いだけど,これがすべてを変えてしまうんだ――誰を雇うのか,誰を昇進させるのか,会議でなにを話し合うのか,などをね。」 (続きを読む
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    masudakotaroさん
    masudakotaro さん(2013/09/08 作成)
  • スティーブ・ジョブズ II

    スティーブ・ジョブズ II の引用ノート

    ウォルター・アイザックソン / 講談社

     ジョブズはアイブのチームを前に宣言する。「みんな,ここ9カ月,このデザインでひっしにやってきたわけだが,これを変えることにした。これから全員,夜も週末も働かなきゃいけなくなった。希望者には,我々を撃ち殺す銃を配布する。」文句を言う者はいなかった。「あれは,アップルをとても誇りに思った瞬間だった。」  ジョブズにとっては薄いことはいいことなのだとティム・クックは証言する。「薄いほうが美しいとスティーブは信じています。その影響はすべての製品に表れています。もっとも薄いノートブックももっとも薄いスマートフォンもアップル製品ですし,iPadなど,薄く作った上でさらに薄くしたくらいですから。」  ジョブズは昔から食べ物にはうるさく,一口で至高か最悪かに分けてしまうことが多い。ふつうの人には区別がつかないアボガド2個を食べて,片方は史上最高のアボガド,もう片方は食えたものではないと評したこともある。  死に直面して少しは円くなっただろうか?その疑問には1日で明確な答えが出た。次々とかんしゃくを爆発させ,側近をあぜんとさせたほか,6カ月ぶりに会った人々をこてんぱんにやり込める。マーケティングの企画をずたずたにする,あげくの果てには,まがい物の仕事をしていると思った連中を2~3人やり玉にあげて,こっぴどく叱りつけたのだ。  「感動した」と,ジョブズが私に記事を送ってきたことがある。(中略)コロンビアの首都,ボゴダの少し北にある田舎の酪農場に滞在していたノアーがiPadでSF小説を読んでいると,家畜小屋の掃除を終えた子どもが近寄ってきた。ふと思いついてiPadを渡すと,使い方を教えられてもいなければコンピュータを見たこともないというその子が,「何となく使えてしまった」というのだ。スクリーンに指を走らせ,アプリを起動し,ピンボールゲームで遊ぶなどした。「文字も読めない6歳の子どもが使い方を教えられなくても使えるパワフルなコンピュータをスティーブ・ジョブズは作り上げた。これを魔法と言わずしてなにを魔法と言うべきであろうか。」  実際のことろ,ジョブズは,次なる変革のターゲットとして教科書を狙っていた。年間80億ドルの教科書産業はデジタル技術で倒す格好の標的だと考えていたのだ。最近は保安上の理由からロッカーのない学校が多く,重たいかばんを引きずって歩かなければならない。「iPadならそういう問題もなくなる。」優れた執筆者を集めてデジタル版の教科書を作り,iPadの目玉として提供する。(中略)「各州でおこなわれている教科書の検定は腐っている。でも,教科書をタダでiPadに載せるのなら,検定を取る必要なんてない。もうあと10年は州レベルで胸くそ悪い経済活動が続くと思うけど,そういうやり方を避けて費用を節約できる方法が提供できるんだ。」  最終的にグーグルのアプローチが市場で優れた成果をあげるとしても,それはジョブズにとってむしずが走るやり方なのだ。「僕はユーザー体験に丸ごと責任を持ちたい。金儲けがしたいからじゃない。すごい製品が作りたいからやるんだ。アンドロイドみたいなガラクタじゃなくてね。」  20年前は,お互い,あまりよく知らなかった米。あのころ僕らは自分の心に導かれていた。僕は一目で君に夢中になったんだ。アワニーで結婚したとき,外は雪が降っていたね。月日が流れ,子どもたちが生まれた。いいときも厳しいときもあった。でも悪いときはなかった。僕らの愛も敬意も時の流れに耐えて成長した。ふたりで本当にいろいろなことを経験してきたね。そしていま,僕らは20年前にふたりで歩きはじめた場所に戻ってきた――年を取り,賢くなって――顔にも心にもたくさんのしわを刻んでね。僕らは人生の喜びも苦しみも秘め事も驚きもたくさん経験して,その上でこうしていっしょにいるんだ。僕はいまも君に夢中だ。(結婚20周年。つ前のラブレター。)  「素晴らしい才能に恵まれた多くの人がそうだと思うのですが,あの人も,すべての面で非凡なわけではありません。たとえば,他人の身になって考えるといった社会的スキルは持ち合わせていません。でも,人類に新たな力を与える,人類を前に進める,人類に最適なツールを提供するということを,あの人は心の底から大事にしています。」 (続きを読む
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    masudakotaroさん
    masudakotaro さん(2013/09/08 作成)
  • スティーブ・ジョブズ II

    スティーブ・ジョブズ II の引用ノート

    ウォルター・アイザックソン / 講談社

     クレージーな人たちがいる。反逆者,厄介者と呼ばれる人たち。四角い穴に丸い杭を打ち込むように,物事をまるで違う目で見る人たち。彼らは規則を嫌う。彼らは現状を肯定しない。彼らの言葉に心を打たれる人がいる。反対する人も,称賛する人もけなす人もいる。しかし,彼らを無視することは誰にもできない。なぜなら,彼らな物事を変えたからだ。彼らは人間を前進させた。彼らはクレージーと言われるが,私たちは天才だと思う。自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが,本当に世界を変えているのだから。(think differentのcm)  ジョブズの得意技に「集中」がある。「なにをしないか決めるのは,なにをするのか決めるのと同じくらい大事だ。会社についてもそうだし,製品についてもそうだ。」  マーカーを手にするとホワイトボードのところへゆき,大きく「田」の字を描く。「我々が必要とするのはこれだけだ」そう言いながら,升目の上には「消費者」「プロ」,左側には「デスクトップ」「ポータブル」と書き込む。各分野にひとつずつ,合計4種類のすごい製品を作れ,それが君たちの仕事だとジョブズは宣言した。  アップルを救ったのは,彼らの「絞り込む力」だった。アップルに復帰した最初の年,ジョブズは3000人以上を解雇し,バランスシートの改善を図った。ジョブズが暫定CEOとなった9月に終わった1997会計年度,アップルは10億4000万ドルの赤字だった。ジョブズによると,あと90日で倒産という,まさに瀬戸際だったらしい。(中略)丸2年の赤字から,四半期で4500万ドルという黒字に転換したのだ。1998会計年度通期では,3億900万ドルの黒字だった。ジョブズが復活し,アップルも復活したのだ。  「もっとがんばるようにしむけてくれた結果,本番の出来が格段に良くなりましたから。たぶんこれが,アップルに対するスティーブ・ジョブズの影響で一番大事なことではないかと思います。彼は,自分に対しても他人に対しても,卓越といえるレベルでなければがまんできないのです。」  「正しくやれるチャンスは1回しかないんだ。」最終的に正しくやれたことも,どこかで巻き戻しボタンを押さなければならなかった――ジョブズは好んで語るストーリーをこのときも語った。完璧ではないと気づいたモノはやり直さなければならない。(中略)「よくない部分があったとき,それを無視し,あとで直せばいいというのではダメだ。そんなのはほかの会社がすることだ。」  「技術が進歩してなにかが新しくできるようになると,それを使ってみたくてたまらない人なのです。」  「ユーザーインターフェースに問題があって可能なかぎりの方法を試したと思っていると,『こういう方法は考えたか?』とたずねられたりするんですよ。みんな,『うわー,その手があったか』って感じで。彼は問題自体やアプローチを全く違う視点から見て問題を解決してしまうんです。」  「僕は,年を取るほど,モチベーションが大事だと思うようになった。ズーンがお粗末なのは,マイクロソフトの人たちがアップルと違って音楽や芸術を本当に愛していないからだ。アップルが勝ったのは,僕ら一人ひとりが音楽を大好きだったから。みんな,iPodを自分のために作ったんだ。自分のため,あるいは自分の友だちや家族のために努力するなら,適当をかましたりしない。大好きじゃなければ,もう少しだけがんばるなんてできない。もう1週間とがんばれやしない。音楽を大好きな人と同じだけ,現状をなんとかしようと努力なんてできないんだ。」  デジタル世界の住人であるにもかかわらず,あるいは,デジタル世界では人々を分断する力が強く働くとよく知っているからこそ,ジョブズは顔をつき合わせた話し合いを重視する。「ネットワーク時代になり,電子メールやiChatでアイデアが生み出されると思われがちだ。そんなばかな話はない。創造性は何気ない会話から,行きあたりばったりの議論から生まれる。たまたま出会った人になにろしているのいかたずね,うわ,それはすごいと思えば,いろいろなアイデアが湧いてくるのさ。」  「自分の意見を言わなければばっさいやられると早い段階で気づきました。議論を活発にするためスティーブはわざと反対意見を言うのです。そのほうがいい結果が出ることもありますからね。つまり,反対できない人は生き残れないのです。」 (続きを読む
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    masudakotaroさん
    masudakotaro さん(2013/09/08 作成)
  • スティーブ・ジョブズ I

    スティーブ・ジョブズ I の引用ノート

    ウォルター・アイザックソン / 講談社

     「工場にゆくと,白い手袋をはめてほこりをチェックするんだ。ほこりはいたるとこりなった。機械の表面にもラックの上にも床にも。だから,きれいにしろとデビに指示した。工場の床の上に直接食べ物を置いて食事ができるくらいにすべきだと言ったんだ。(中略)僕も,あのころはなぜそう思うのか,はっきり説明できなかった。いま思うと,日本で見た光景に強い影響を受けていたんだ。日本のすばらしいところであり,僕らの工場にかけている点は,チームワークと規律だと思う。工場をきれいに保てるだけの規律がなければ,あれだけのマシンをちゃんと動かせるだけの規律もないってことなんだ。」  ジョブズは他人の操縦がうまいと有名で,実際,そうしようと思えばあらゆる方法でたくみにおだてて取り込んでしまう。だが意外なことに策謀や計算は不得手だし,他人のご機嫌を取る忍耐力もなければそういうことができる性格でもない。  「コンピュータグラフィックスに惚れ込んでいたので,どうしても自分で買いたかった。ルーカスフィルムコンピュータ部門の人々と会ったときわかったんだ。アートとテクノロジーを組み合わせるという面で,彼らはずっと先を行っているって。僕がずっと興味を持っている領域で,ね。」もう数年もしたらコンピュータは100倍もパワフルになる,そうなればアニメーションやリアルな3Dグラフィックスが大きく進む,とジョブズは考えた。  「人は創造的な動物で,発明した人間が想像もしなかった使い方を見つけてくれる――僕はそう考えている。マックのときはそうだったし,ピクサーのコンピュータでも同じようになるはずだと思ったんだ。」  普通の消費者がピクサーのソフトウェアで3D映像を作るようになるという予想は外れたが,優れた芸術とで自他rつ技術を組み合わせれば従来のアニメーション映画を一変させられるという直感は,まさに先見の明と言えるものだった。  しばらくロビーに座って話をしたあと,ジョブズは妹とふたりだけで散歩に出た。ジョブズは,自分とあまりによく似ている妹がいたことにわくわくしていた。ふたりとも芸術に強い興味があり,鋭い観察眼を持っている。強い感受性と意志も共通していた。夕食に向かう途中では建物の同じ部分や同じオブジェに注目し,それについていろいろと語り合った。  「素晴らしい収穫は粗末なものから生まれる,喜びはがまんから生まれる,と父は信じていました。物事はその反対へ振れるという,ほとんどの人が知らない法則を理解していたのです。」  ジョブズと別れたあと,レドセはメンタルヘルスに関するカリフォルニアのネットワーク,オープンマインドの創設にかかわった。そのとき自己愛性人格障害について学び,ジョブズはこれだったんだと納得したという。「腑に落ちることばかりで,いろいろ大変だったこともみんな説明がつくのです。だから,あの人にもう少し親切になってほしいとかもう少し自分中心なところを減らしてほしいといか思うのは,目の不自由な人にいろいろちゃんと見てほしいと願うようなものだったのだとよくわかりました。娘のリサへの接し方もようやく理解できました。たぶん共感が問題だったんだと思います。共感する能力があの人に欠けていたことが。」  ジョブズは意のままに人を魅了できるし,そうするのが好きである。その結果,アメリオやスカリーのように,それを自分に対する好意や敬意の表れだと思い込む人が出る。ジョブズはジョブズで,相手が望んでいるとかじれば心にもないあいそを言い,その印象を強める。しかしジョブズという人間は,好む相手をはずかしめもすれば,同じように嫌いな相手を魅了もする。  ジョブズはなんでも自分がコントロールしないと気が済まない性格だが,同時に,先行きが不透明だと思うと優柔不断となり,前に進めなくなってしまう。完璧を求めるあまり,中途半端なもので妥協したり,可能なものでがまんしたりが上手にできないことがある。複雑なものへの対処も好まない。(中略)この性格は,やる気にもはっきりと表れる。これが正しいと確信したジョブズは誰にも止められない。しかし少しでも疑いがあると消極的になり,自分にとって必ずしも都合のよくないことを考えずにすまそうとする。  「我々も常識とは違うことを考え,アップルの製品をずっと買い続けてくれている人々のためにいい仕事をしたいと思う。自分はおかしいんじゃないかと思う瞬間が人にはある。でも,その異常こそ天賦の才の表れなんだ。」 (続きを読む
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    masudakotaroさん
    masudakotaro さん(2013/09/08 作成)
  • スティーブ・ジョブズ I

    スティーブ・ジョブズ I の引用ノート

    ウォルター・アイザックソン / 講談社

     マックチームの古参メンバーは,ジョブズに反論しても大丈夫だとわかっていた。問題をきちんと理解していれば反論してもジョブズは怒らないし,にっこり笑って褒めてくれることもある。そして1983年ごろ,現実歪曲フィールドに詳しい一部メンバーは,その先があることを発見する。必要なら指示を黙殺しても大丈夫なのだ。その結果うまくいけば,権力を無視する意思の力や反逆者精神が評価される。そもそも,彼自身がそうしてきたのだから当然かもしれない。  当時,製品グループ同士は対抗心むき出しで争っていたが,海賊旗の一件のように楽しんでいる面もあった。マッキントッシュチームは週90時間も働いているとジョブズが自慢したのを受け,「週90時間,喜んで働こう!」と書かれたスウェットをデビ・コールマンが作ると,リサグループは「週70時間で製品を出荷中」というシャツで応酬する。  その日の午後,マッキントッシュチームがバンドリー3ビルに戻ったあと,駐車場に1台のトラックが到着し,ジョブズの指示で全員がトラックのところに集まった。罪には新品のマッキントッシュが100台。1台ずつ,チームメンバーの名前が書かれたプレートがついていた。「これをスティーブがひとりずつ渡してゆくんです。笑顔で握手して。残り全員の拍手を浴びながら。」  厳しい旅だった。ジョブズの管理スタイルにはうんざりするのはもちろん,残酷なことさえあって多くの人が心に傷を負った。それでも,マッキントッシュを生み出すのは,ラスキンにもウォズニアックにもスカリーにも,アップルの他の誰にもできないことだった。フォーカスグループや設計委員会からも生まれない。マッキントッシュ発表の日,どういう市場調査をしたのかとポピュラーシエンス誌の記者にたずねられたジョブズは鼻で笑った。「アレクサンダー・グラハム・ベルが電話を発明したとき,市場調査をしたと思うかい?」  ジョブズと違い,ゲイツはコンピュータプログラムを習得しており,考え方は現実的で規則を重んじる。分析能力も高い。ジョブズはもっと直感的で夢見がちだが,技術を使えるようにする,デザインを魅力的にする,インターフェースを使いやすくするなどの面にするどい勘が働く。完璧を強く求める情熱があり,そのせいで他人に対してとても厳しく,カリスマ性と広範囲・無差別な激しさで人を動かす。ゲイツはもっと整然としている。きっちりとスケジュールが組まれた会議で製品レビューをおこない,緻密なスキルで問題の核心に斬り込む。両者とも無作法な態度を取ることがあるが,ゲイツの場合,手厳しい言動もその原因は感情的な冷たさよりも知的な鋭さにあり,個人攻撃的な意味合いが薄い。ジョブズは燃えるような激しさで相手の目を見つめる。ゲイツはアイコンタクトが苦手だが,他人には基本的に優しい。  ゲイツの目の前で,ジョブズは,奇矯なふるまいで社員を振りまわしたり強いこだわりを示したりした。「スティーブは例によって究極のハーメルンの笛吹きモードで,マックが世界を変えるんだと言い切り,すさまじい緊張感と複雑な人間関係で,正気とは思えないほど皆を働かせていました。」ハイな状態から一気に落下し,不安をゲイツに漏らすこともあったという。「金曜夜,みんなでいっしょに夕食を食べに出かけるろきは,万事最高だと言い続けるわけです。ところが次の日は,まず間違いなく『どうしよう,アレは売れるのかなぁ,困ったなぁ,値段を上げなきゃいけない,こんな話をしてごめん,うちのチームいはばかばっかで』みたいになるのです。」  「マイクロソフトが抱えている問題はただひとつ。美的感覚がないことだ。足りないんじゃない。ないんだ。オリジナルなアイデアは生み出さないし,製品に文化の香りがしない・・・僕が悲しいのはマイクロソフトが成功したからじゃない。成功したのはいいと思う。基本的に彼らが努力した成果なのだから。悲しいのは,彼らが三流の製品ばかりを作ることだ。」  「チームが成長するとき,多少ならBクラスのプレーヤーがいてもいいと思ってしまうが,そうするとそいつらがまたBクラスを呼び込み,気づいたらCクラスまでもいる状態になってしまう。Aクラスのプレーヤーは同じAクラスとしか仕事をしたがらない,だから,Bクラスを甘やかすわけにはいかない・・・そう,僕はマッキントッシュの体験から学んだんだ。」 (続きを読む
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    masudakotaroさん
    masudakotaro さん(2013/09/08 作成)
  • スティーブ・ジョブズ I

    スティーブ・ジョブズ I の引用ノート

    ウォルター・アイザックソン / 講談社

     マッキントッシュのオペレーティングシステムを作っていたラリー・ケニヨンのところへ行き,マシン立ち上げの時間がかかりすぎると文句を言ったこともある。説明しかけたケニヨンにかぶせるようにジョブズは訊ねた。「仮に起動時間を10秒短くするだけで人の命が救えるなら,そうしようと考えるかい?」そうするだろうとケニヨンが答えると,ジョブズはホワイトボードに数字を書きはじめた。世界中で500万人がマックを使うようになった場合,1日10秒,起動時間が余分にかかると,年間,3億時間ほどの違いになる。言い換えると,1年間で100人分以上の人生に相当する時間が節約できるというのだ。  「スティーブは,全体像をとらえることで,社員のモチベーションを上手に高めるのです。」その結果,マッキントッシュチームは是認がジョブズの情熱を共有するようになった。利益だ出るだけの製品でなく,すごい製品を作りたいとい情熱だ。  「ジョブズは自分をアーティストだと考えており,設計チームンメンバーにもそう考えるようしむけました。目標は競争に打ち勝つことでもなければお金を儲けることでもありません。可能な限りすごい製品を作ること,いや,限界を超えてすごい製品を作ることでした。」  ジョブズのやり方には,もうひとつ,良い点があった。画期的な製品を作ろうという情熱と,不可能に見えることでもやり遂げられるという信念をアップル社員に植え付けたのだ。マッキントッシュチームは「週90時間,喜んで働こう!」というTシャツを着て働いた。ジョブズに対するおそれと彼に認められたいという強い想いを原動力に,自分が思いもしなかったほどの働きをした。  「優れた人材を集めれば甘い話をする必要はない。そういうものだと僕は学んできた。そういう人は,すごいことをしてくれると期待をかければすごいことをしてくれるんだ。特A+のプレーヤーはそういう人同士で仕事をしたがるし,Bクラスの仕事でもいいと言われるのを嫌がる。」  洗練を突きつめると簡潔になる。  デザインをシンプルにする根本は,製品を直感的に使いやすくすることだとジョブズは考えた。両者は必ずしも両立しない。デザインは流麗でシンプルなのに,使うのが怖く感じたり,なにをどうしたらいいのかよくわからなかったりという場合もある。ジョブズは,大勢集まったデザインの専門家を前に語った。「我々がデザインの主眼に据えていますのは,直感的に物事がわかるようにする,です。」  ジョブズは,ウィンドウやドキュメント,スクリーンの頂部に表示されるタイトルバーにもたっぷりと注意を払った。どうもピンとこないとうなっては,アトキンソンとケアに何度も何度もやり直しを命じる。「満足してもらえるまで,タイトルバーだけで20回はやり直したともいます。」とアトキンソンは言う。ケアとアトキンソンは,タイトルバーをちょこちょこいじるよりほかにもっと大事なことがあるのでは,と文句を言ってしまったこともある。すぐさま怒鳴り声が返ってきた。「毎日見るものなんだぞ!ちょっとしたことじゃない。ちゃんとやらなきゃいけないことなんだ。」  「引き出しが並ぶ美しいチェストを作るとき,家具職人は背面に合板を使ったりしません。壁にくっついて誰に見えないところなのに,です。つくった本人にはすべてわかるのです。だから,背面にも美しい木材を使うのです。夜,心安らかに眠るためには,美を,最初から最後まで貫きとおす必要があるのです。」  ジョブズはまた,マッキントッシュのキーボードから矢印キーをなくしてしまった。カーソルを動かす方法はマウスだけ。旧来のやり方に慣れたユーザーにもマウスを使わせようというわけだ。製品開発の常識に反しているが,ジョブズは顧客が常に正しいとは考えていない。マウスを使いたがらない人は間違っていると考える。顧客の要求を満たすよりも偉大な製品を作ることを優先する姿勢が表れた一例と言えるだろう。  1月の研修会でジョブズが訴えたことがもうひとつある。「海軍に入るより海賊になろう」だ。どのようなものにも立ち向かう反逆者魂を持ってほしい,むちゃくちゃをしながらどんどん先に進む冒険好きになってほしい,自分たちがしていることに誇りを持ちながら,まわりから次々と盗むチームになってほしい,と思ったからだ。 (続きを読む
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    masudakotaroさん
    masudakotaro さん(2013/09/08 作成)
  • スティーブ・ジョブズ I

    スティーブ・ジョブズ I の引用ノート

    ウォルター・アイザックソン / 講談社

     「スティーブは禅と深くかかわり,大きな影響を受けています。ぎりぎりまでそぎ落としてミニマリスト的な美を追求するのも,厳しく絞り込んでゆく集中力も,皆,禅から来るものなのです。」  ジョブズはまた,直感や洞察を重視する仏教の教えにも強い影響を受け,「抽象的思考や論理的分析よりも直観的な理解や意識のほうが重要だと,このころに気づいたんだ」と後に語っている。ただ気性が激しかったため,解脱して涅槃にいたることはできなかった。  のちにジョブズは,こう振り返っている。「僕はすばらしい時代に大人への階段をのぼったと思う。禅によって,また,LSDによって意識が高められたからね。」「LSDはすごい体験だった。人生でトップクラスというほど重要な体験だった。LSDを使うとコインには裏側がある,物事には別の見方があるとわかる。効果が切れたとき,覚えてはいないんだけど,でもわかるんだ。おかげで,僕にとって重要なことが確認できた。金儲けではなくすごいものを作ること,自分にできるかぎり,いろいろなものを歴史という流れに戻すこと,人の意識という流れに戻すこと。そうわかったのはLSDのおかげだ。」  「西洋の合理的思考は人間が生まれながらに持っているものじゃない。習得するものであり,西洋文明の大きな成果でもある。インドの村では合理的思考を学ばないんだ。彼らは別のものを学ぶ。合理的思考と,ある意味,同じくらい重要な面を持ち,それほどでもない面も持つものだ。それが直感の力,体験にもとづく智慧の力だ。インドの田舎で7カ月を過ごしたおかげで,僕は,西洋世界と合理的思考の親和性も,そして西洋世界のおかしなところも見えるようになった。じっと座って観察すると,自分の心に落ち着きがないことがよくわかる。静めようとするともっと落ちつかなくなるんだけど,じっくりと時間をかければ落ちつかせ,とらえにくいものの声が聞けるようになる。このとき,直感が花開く。物事がクリアに見え,現状が把握できるんだ。ゆったりとした心で,いまこの瞬間が隅々まで知覚できるようになる。いままで見えなかったものがたくさん見えるようになる。これが修養であり,そのためには修業が必要だ。」  「マイクには本当に世話になった。彼の価値観は僕とよく似ていたよ。その彼が強調していたのは,金儲けを目的に会社を興してはならないという点だ。真に目標とすべきは,自分が信じるなにかを生み出すこと,長続きする会社を作ることだというんだ。」  アップルは,他の企業よりも顧客のニーズを深く理解する。顧客の想いに寄りそうのだ。  やると決めたことを上手におこなうためには,重要度の低い物事はすべて切らなければならない。  ジョブズはその後,マーケティングやイメージ,ときにはパッケージの細かな点にいたるまで注意を払うようになり,その姿勢は強迫的だと言われるほどになる。「iPhoneやiPadの箱を開けたときに感じるなにか,それが,その製品に対する想いを決める第一歩になってほしいと僕らは考えている。」  ボールを使ったマウスを作ることは商業的に不可能だと,あるエンジニアに言われたジョブズ。翌朝,そのエンジニアは首になった。  製品に対して十分に熱い想いを抱いていれば現実をも曲げられるとジョブズは信じていた。  怒りっぽいという欠点はあるものの,宇宙に衝撃を与えられるだけのカリスマ性と社内的な力がジョブズにはあると考える人も多かった。  「スティーブの現実歪曲フィールドにとらえられるのは危険なのですが,でも,あの力があるから実際に現実を変えられたわけです。」  「カリスマ的な物言い,不屈の意志,目的のためならどのような事実でもねじ曲げる熱意が複雑に絡みあったもの――それが現実歪曲フィールドです。」  「その存在を意識しても,現実歪曲フィールドは効果を発揮するんですよ。なんとかむこうかできないものかとさまざまな方法を検討しましたが,結局,ほとんどの人はあきらめ,自然界にはそういう力も存在するのだと受け入れてしまいました。」  「論理的にあり得ない未来を見ているとき,彼は現実歪曲の力を発揮するんだ。」  「自己実現型の歪曲で,不可能だと認識しないから,不可能を可能にしてしまうのです。」  現実歪曲フィールドの根底にあったのは,世間的なルールに自分は従う必要がないという確固たる信念だ。 (続きを読む
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    masudakotaroさん
    masudakotaro さん(2013/09/08 作成)
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