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『文学・評論』関連の引用(抜き書き)読書ノートリスト

引用(抜き書き)『文学・評論』関連の読書ノートリスト

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  • ヴェネツィア 水の迷宮の夢

    ヴェネツィア 水の迷宮の夢 の引用ノート

    ヨシフ・ブロツキー / 集英社

    「さあ、描いてみて!」冬の光が囁く、病院のレンガ塀にせきとめられ、あるいは宇宙の長旅をすませて、やっとのことで聖ザッカリーア教会の切妻壁前(フロントーネ)のパラダイスという故郷に辿りついた時に。地球がその光を運ぶ天体にもう一方の頬っぺたを差し出している間に、聖ザッカリーアの大理石の貝模様の中で、あともう小一時間ほど憩う光の表情には、疲労がただよってくるのが分かる。これが冬の光の一番純粋な時なのだ。その時それは、温度、あるいはエネルギーを持ってはいない。そんなものは、どこか宇宙のかなたに、あるいは近くの積雲の中にでも、捨て去ったのか、それとも置いてきたのだろう。光の粒子の、ただ一つの野望は、物体に届いて――大きかろうが小さろうが――とにかく目に見える画像にすることなのだ。それは親密な光、ジョルジョやベッリーニの光だ。ティエポーロやティントレットの光では決してない。町はその肌ざわり、無限の彼方からやってきた光の愛撫をゆっくり味わいながら、暮れなずんでゆく。形ある物というのは、結局、無限をも親密なものにしてしまうのだ。 P84(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/12/28 作成)
  • 極北

    極北 の引用ノート

    マーセル・セロー / 中央公論新社

    彼は各地を旅行し、多くの言語を身につけている。人体の筋肉の名称を残らず知っている。私みたいな人間ならここでは一山いくらで手に入る。実際的でタフな心を持ち、ツンドラを漁って命を繋いでいる人間たち。しかしシャムスディンは読書からしか得られない知識を身につけている。それがどれほど現実の役に立つのか、私にもわからない。ときとしてそれが愚かしく、いささか奇妙に――まるで囚人が絹のネクタイを結んでいるみたいに――見えることも確かだ。しかし我々より知識のある人々の間では、彼の持っている知識は貴重なものとされてきた。彼の頭の中にあるのは、何世紀にもわたって蓄積されてきたものだ。多くの血がそのために流されるだけの価値のある、大事なものだった。彼が知識として身につけている事実が解明されるために、一千年もの研究の歳月が費やされたのだ。科学と実証の一千年――そこでは「地球が太陽のまわりを回っているのであって、その逆ではない」と主張するために人は命を落とすことさえいとわなかった。それがいったん失われてしまえば、同じものごとを再び学びとるのに、更なる一千年が必要になるだろう。 P213(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2013/03/08 作成)
  • 完訳 緋文字 (岩波文庫)

    完訳 緋文字 (岩波文庫) の引用ノート

    N. ホーソーン / 岩波書店

    彼女の運命と趨勢は彼女を自由にしていた。緋文字はほかの女たちが足を踏み入れるのをはばかる地域への旅行免状だった。(続きを読む
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    tmkn さん(2012/11/19 作成)
  • センス・オブ・ワンダー

    センス・オブ・ワンダー の引用ノート

    レイチェル・L. カーソン / 新潮社

    自然界への探検…それは何かを教えるためではなく、いっしょに楽しむためなのです 「知る」ことは「感じる」ことの半分ほども重要ではない… 子供たちがこれからであう事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生みだす種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受性は、この種子をはぐくむ肥沃な土壌です。幼い子供時代は、この土壌を耕す時です(続きを読む
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    suisuiさん
    suisui さん(2013/04/30 作成)
  • 読書家の新技術 (朝日文庫)
    p.37 だが、そもそも、公認された知の集合・知の世界=教養という時の「公認」には、保守的なものも進歩的なものもともに含まれる。進歩的なものは、保守派にとっても、進歩的なるものとして諒解可能なのである。共産主義は、反共主義者にとって、共産主義なるものとして諒解可能なのである。公認の配分という程度の差こそあれ、進歩も保守も公認教養の中に含まれているのだ。(続きを読む
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    BafanaBafanaさん
    BafanaBafana さん(2015/01/20 作成)
  • マザーズ

    マザーズ の引用ノート

    金原 ひとみ / 新潮社

    「いやだーーーーっ!」 私はAVのパッケージを開けDVDを引っぺがえすようにして取り出し噛みついた。チューペットを齧るようにがしがしとDVDに歯を食い込ませる。「爆乳淫乱少女」というタイトルが目に入って私は大声でそのタイトルを音読する。別のパッケージには、「巨乳素人ナンパ」と書いてあって私はそれも音読する。「爆乳巨乳爆乳巨乳爆乳巨乳爆乳巨乳」と大声で連呼する。 「捨てないよ。捨てられない」 「涼子は捨てるよ」 「捨てないよ。私には一弥が必要なんだよ」 「抑えられないなんて嘘だよ。涼子は自分が虐待をしたくてしているという事を認めた方がいい」 (続きを読む
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    NKazuyoshiさん
    NKazuyoshi さん(2012/11/29 作成)
  • 弱法師

    弱法師 の引用ノート

    中山 可穂 / 文藝春秋

    わたしは強いのではない。 まだ誰かを死ぬほど愛したことがないだけだ。 愛するひとにこのからだを愛撫され、その手のかたちで捏ねられ美しく磨き立てられた賜物のような乳房をいまだ持たず、持たざるがゆえに失う悲しみもいまだ知ることがないだけだ。 愛するひとが黄泉の国へ旅立つとき、あの世への手土産に丹精した乳房を差し出すような、なりふりかまわぬ捨て身の恋を一度もしたことがないだけだ。 喉から血を流していとしい誰かの名前を呼び続けたことも、胸の谷間から脂汗を流してかつてそこにあったやさしい手の記憶を反芻し続けたこともない。 わたしは恋も、愛も、天国も、地獄も、何も知らない。 できることなら、こんなふうにぼろぼろになっても、胸がぺしゃんこに潰れるような思いをしても、年を取りすぎた大きい天使になっても、狂ったように愛し愛され、いとしい誰かと手に手を取ってこの世の淵からこぼれ落ちたい。打ちのめされ、追い詰められ、虚無に向かって行進していくような人生でもかまわない。 こんなふうに誰かを、ただひとりのひとを、一生かけて、馬鹿みたいに愛したい。 そうすれば母の人生が、苛烈ではあったけれど不幸ではなかったのだと信じることができるような気がするのだ。 そうして初めて、わたしはわたし自身の罪深い生を受け容れ、赦すことができるような気がするのだ。 そして明日も今日のように生きていけるような気がするのだ。(続きを読む
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    marie1127さん
    marie1127 さん(2013/08/07 作成)
  • 64(ロクヨン)

    64(ロクヨン) の引用ノート

    横山 秀夫 / 文藝春秋

    あゆみの家出 『三上はカウンセラーを問い詰めた。そうぜずにはいられなかった。……鵜呑みにして家を空けた結果がこうだった。カウンセラーは悪びれるでもなかった。もう親には心配を掛けない。あゆみがそう話したので大丈夫と判断したが、実際には家出を暗示したのだろうと分析してみせた。』p110 『家族を弾除けにしていた。自分が可愛かった。組織での立場が危うくなるたび、家族に託けて我慢のカードを切ってきた。わかっていた。家族などなくても生きられるが、組織の中で居場所を失ったら生きていけない。自分はそういう種類の男だと認め、受け入れない限り、死ぬまで己を語る方法を見出せそうになかった。』p398 (続きを読む
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    myzkkさん
    myzkk さん(2013/03/29 作成)
  • 羅生門・鼻・芋粥・偸盗 (岩波文庫)
    それだからこそ、自分は兄に対しても、嫉妬をする。すまないとは思いながら、嫉妬をする。してみると、兄と自分との恋は、まるでちがう考えが、元になっているのではあるまいか。そうしてそのちがいが、よけい二人の仲を、悪くするのではあるまいか。………『偸盗』より(続きを読む
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    NKazuyoshiさん
    NKazuyoshi さん(2012/11/19 作成)
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