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『文学・評論』関連の引用(抜き書き)読書ノートリスト

引用(抜き書き)『文学・評論』関連の読書ノートリスト

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  • 対岸の彼女 (文春文庫)
    「あたし明日お金作ってくるよ」  無表情で言った。葵はナナコが何を言っているのかまるでわからなかった。 「は? どうやって?」数秒後、ようやく葵は言った。 「だから、一番かんたんな方法でお金を稼ぐって言ってるの。あのね、言わなかったけどあたし知ってるの。ひとりでバイト捜しにいったとき、男の人が女の子に声かけるようなところ、見つけたの。あたしも声かけられたし。あたし、そういうの全然平気だから、もし本当にお金が」 「だってナナコ処女でしょ」ナナコを遮って葵は言い、言ってから、なんて馬鹿みたいなことを言っているのだろうと、自分にあきれかえる。 「ねえ、前も言ったけど、あたし、大切じゃないものって本当にどうでもいいの。本当に大切なものは一個か二個で、あとはどうでもよくって、こわくもないし、つらくもないの」  ナナコは葵の目を見据えて、ひどく静かな声でそう言った。やめてよそんな馬鹿みたいなこと、と言おうとして、けれど葵は何も言えずにナナコを見つめかえす。本気なんだろうと葵は思った。この女の子は本当に、躊躇も不安もなく、街角に立って声をかけてきた見知らぬ男についていくのだろう。それでなんにも傷つかないのだろう。何もかもその深い空洞に吸いこまれてしまうのだろう。  あのとき帰りたくないとナナコはどうして言ったんだろうと、目を合わせたまま葵は考える。いじめられることがつらいんだと思っていた。あの、打ちすてられたような家が嫌いなんだろうと思っていた。未来のなさが、選択のなさが息苦しいんだろうと思っていた。けれど、そんなことはこの女の子にとってすべてどうでもいいことだったんじゃないかと、今思う。だとしたらいったいなぜ、帰りたくないと泣いたのか。帰りたくないその理由はなんだったのか。  すっと背中が冷たくなった。断崖絶壁に立って足元を見下ろしているような気がした。(続きを読む
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    itokoさん
    itoko さん(2012/10/31 作成)
  • 夜になるまえに

    夜になるまえに の引用ノート

    レイナルド アレナス / 国書刊行会

    植物は誰が自分を愛してくれるか、誰が自分のことを理解できないかが分かり、不慣れな人間が世話をすれば大きくならないし実もつけない。土地を耕す資格があるのは田舎に住んで自然を愛し、その秘密を知る人たちだけだ。土地を耕すことは愛情の行為であり、伝承的な行為である。植物や種は世話をしてくれる人に、何も言わなくても分かりあえる、そんな関係を求めるのだ。 P101(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2013/08/21 作成)
  • 楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)

    楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2) の引用ノート

    マリオ・バルガス=リョサ / 河出書房新社

    その自画像を描いていて、アルルの「黄色い家」に雨と北西風に閉じ込められたあの数週間に、オランダ人を虜にした花、ひまわりを描くフィンセントの肖像画を描いたことをポールは思い出した。彼は飽きずにいつもその花を描いていた。 P335(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/12/08 作成)
  • 夜になるまえに

    夜になるまえに の引用ノート

    レイナルド アレナス / 国書刊行会

    川は抑えられない暴力の魅力に憑かれてとどろいていた。氾濫するその川の力はたいていのものを押し流し、木々や岩、動物、家を運び去っていった。それは破壊の、そしてまた、生の法則の神秘だった。その川がどこまで行くのか、その逆上した流れどこまで達するのか、そのときはよく知らなかったが、その轟音といっしょにぼくもいかなくちゃならない、ぼくもその水に飛び込んで消えなくちゃいけない、わずかとはいえ心の安らぎは常に先へと進むその激流の中でしか見いだせない、と何かがぼくに言っていた。でも、飛び込む勇気がなかった。ずっとぼくは臆病だった。川辺まで近寄ると、あと一歩出ろ、そうすりゃ渦がおまえを呑みこんでくれる、と川がぼくに向かって吠えていた。そのときそうしていたら、いったいどれだけ多くのことが避けられたか。 P41(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2013/08/21 作成)
  • 弱法師

    弱法師 の引用ノート

    中山 可穂 / 文藝春秋

    求めても得られないものはいつしか求めなくなるものだ。わたしはこうして諦めてきたのだ。愛という言葉を自分の辞書から葬ってきたのだ。そうして独りで生きることに決めたのだ。(続きを読む
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    marie1127さん
    marie1127 さん(2013/08/07 作成)
  • 夜になるまえに

    夜になるまえに の引用ノート

    レイナルド アレナス / 国書刊行会

    美はそれ自体、どんな独裁にとっても危険なもの、闘争的なものだ。独裁が人々に課している制限を超えていくような世界を含んでいるのだから。それは政治警察の支配の及ばない領域である。したがって誰にも統治されることがない。だからこそ独裁者たちは苛立ち、なんとかして破壊しようとする。美は独裁体制下ではいつも反体制である。というのも、どんな独裁もそれ自体、見苦しい醜悪なものなのだから。美を実践することは独裁者とその官吏たちにとって現実逃避的な、あるいは反動で黄な行為である。 P134(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2013/08/21 作成)
  • なぜ書くか: エリザベス・ボウエン/グレアム・グリーン/V・S・プリチェットの往復書簡集
    作家も他の人と同じように一個の市民(生きる存在)であり、市民としてのディレンマをもっている。しかしプリチェットにおいては作家の市民としての時間は彼の作家としての時間に比べればほんのわずかでしかなく、市民であることは人間の全目的ではない。さらに、作家はたとえ社会にとって不可欠の存在であるにしても、一個の贅沢品にしかすぎないという自覚が彼にはあって、もし社会から攻撃を受ければ、作家はレジスタンスのゲリラ兵のように戦いつづけ、逃亡するほかにということになる。 P82(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2013/03/31 作成)
  • ヴェネツィア 水の迷宮の夢

    ヴェネツィア 水の迷宮の夢 の引用ノート

    ヨシフ・ブロツキー / 集英社

    時こそが神なのではないかという考えに、ぼくは常に執着していた。少なくとも神の霊とは、そのようなものではないだろうか。もしかしたらこの考えは、ぼく自身が考え出したものだったかもしれないのだ。しかし今はよく覚えていない。それはともかく、もしも神の霊が水面を動いたとしたら、水はそれを映し出したはず、とぼくはいつも思っていた。~略~ぼくはただ、水は時のイメージだと思っている。だからぼくは、少しばかり異教徒風に、水辺で、それもできれば海のそばで、大みそかを迎えるようにしている。 P47(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/12/27 作成)
  • 楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)

    楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2) の引用ノート

    マリオ・バルガス=リョサ / 河出書房新社

    なんて苦しいコルセットだろう。コルセットについては『メフィス』という小説の中でおまえは痛烈な批判をしていて、未来社会では不適切な衣類として禁止されるだろう、女性を腹帯を締めた雌馬のように感じさせるから、と述べている P262(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/12/07 作成)
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