Paragrase “パラグレーズ” ロゴ

『文学・評論』関連の引用(抜き書き)読書ノートリスト

引用(抜き書き)『文学・評論』関連の読書ノートリスト

  • 全 233 件中 201 〜 210 件の引用ノートを表示
  • 並び替え: 新着順 / 人気順
  • 楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)

    楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2) の引用ノート

    マリオ・バルガス=リョサ / 河出書房新社

    狂ったオランダ人の思い出は、アトゥオナで暮らしはじめて数か月、ほとんど一瞬たりともおまえから離れることがなかった。どうしてだろうか、コケ。ほぼ十五年のあいだは、おまえの記憶から彼をきれいに消し去ることができていた、疑いなく幸運なことだった。なぜならフィンセントの思い出はおまえを落ち着かない気持ちにさせ、苦しめ、おまえの仕事をだめにしてしまったかもしれないから。けれどもここ、マルキーズ諸島では、おまえもあまり絵を描かなくなっていたから、あるいは疲れていたし病気でもあったから、心遣いの細やかさと狂気を伴った、人の善いフィンセント、かわいそうなフィンセント、我慢のならないフィンセントのイメージが絶えずおまえの意識になだれこんでくるのを阻む手だてがなかった。プロヴァンスで八週間に及ぶ困難な共同生活をしたときの数々の出来事、逸話、論争、憧れ、夢は、あれから十五年を経て、数日前の出来事さえすっかり忘れがちな現在の記憶状況でも、ポールは鮮やかに思い出すことができた。 P322(続きを読む
    2,375 Views
    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/12/07 作成)
  • 夜になるまえに

    夜になるまえに の引用ノート

    レイナルド アレナス / 国書刊行会

    美はそれ自体、どんな独裁にとっても危険なもの、闘争的なものだ。独裁が人々に課している制限を超えていくような世界を含んでいるのだから。それは政治警察の支配の及ばない領域である。したがって誰にも統治されることがない。だからこそ独裁者たちは苛立ち、なんとかして破壊しようとする。美は独裁体制下ではいつも反体制である。というのも、どんな独裁もそれ自体、見苦しい醜悪なものなのだから。美を実践することは独裁者とその官吏たちにとって現実逃避的な、あるいは反動で黄な行為である。 P134(続きを読む
    2,370 Views
    haruga6さん
    haruga6 さん(2013/08/21 作成)
  • なぜ書くか: エリザベス・ボウエン/グレアム・グリーン/V・S・プリチェットの往復書簡集
    作家も他の人と同じように一個の市民(生きる存在)であり、市民としてのディレンマをもっている。しかしプリチェットにおいては作家の市民としての時間は彼の作家としての時間に比べればほんのわずかでしかなく、市民であることは人間の全目的ではない。さらに、作家はたとえ社会にとって不可欠の存在であるにしても、一個の贅沢品にしかすぎないという自覚が彼にはあって、もし社会から攻撃を受ければ、作家はレジスタンスのゲリラ兵のように戦いつづけ、逃亡するほかにということになる。 P82(続きを読む
    2,357 Views
    haruga6さん
    haruga6 さん(2013/03/31 作成)
  • 弱法師

    弱法師 の引用ノート

    中山 可穂 / 文藝春秋

    求めても得られないものはいつしか求めなくなるものだ。わたしはこうして諦めてきたのだ。愛という言葉を自分の辞書から葬ってきたのだ。そうして独りで生きることに決めたのだ。(続きを読む
    2,353 Views
    marie1127さん
    marie1127 さん(2013/08/07 作成)
  • なぜ書くか: エリザベス・ボウエン/グレアム・グリーン/V・S・プリチェットの往復書簡集
    文学は教化とは一切関係がない。こういったからといって、私は文学が無教化的であると主張しているわけではない。文学は個人の道徳を表し、この個人の道徳はその個人が属するグループの道徳とめったに一致するものではない。 P44(続きを読む
    2,353 Views
    haruga6さん
    haruga6 さん(2013/03/31 作成)
  • ビリー・ミリガンと23の棺〈下〉 (ダニエル・キイス文庫)
    「意図的にすべてをやめるという選択をすることによって,彼らは自分たちの運命を支配することができるのだ」 「これは他人を操るためではなかった。もはや病院に利用され,政治家に利用され,メディアに利用されるのは耐えられなかった。ある男を殺したと疑われ,その男がまだ生きているのに,第一容疑者とみなされることには対処できなかった」 「彼らがもう力をふるえないと知って,大きな喜びを感じた。自分が自分の人生を支配しているのだとわかった。なぜなら自分が死ねば,彼らはその遺体を外に運び出さなければならないからだ。どんなに閉じ込めておきたくても,彼の脳に錠をかけることはできないし,いまは彼の肉体を閉じこめておくこともできない。彼はまさしくここを去ろうとしているのだ」 「つまり,ぼくがまずチャーマーを許さなければならないということです。彼の墓を見つけてほんとうに死んだことをたしかめたいですが,でも墓を汚すようなことはしません。彼に許すといいます。そうすれば彼の霊は,子供の頃の彼を傷つけた誰かを許し,たぶん許しは過去に遡っていき,未来を変えるでしょう。人間は,お互いに傷つけあうことをやめなければならないのです」(続きを読む
    2,351 Views
    masudakotaroさん
    masudakotaro さん(2013/03/20 作成)
  • ヴェネツィア 水の迷宮の夢

    ヴェネツィア 水の迷宮の夢 の引用ノート

    ヨシフ・ブロツキー / 集英社

    時こそが神なのではないかという考えに、ぼくは常に執着していた。少なくとも神の霊とは、そのようなものではないだろうか。もしかしたらこの考えは、ぼく自身が考え出したものだったかもしれないのだ。しかし今はよく覚えていない。それはともかく、もしも神の霊が水面を動いたとしたら、水はそれを映し出したはず、とぼくはいつも思っていた。~略~ぼくはただ、水は時のイメージだと思っている。だからぼくは、少しばかり異教徒風に、水辺で、それもできれば海のそばで、大みそかを迎えるようにしている。 P47(続きを読む
    2,351 Views
    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/12/27 作成)
  • 楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)

    楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2) の引用ノート

    マリオ・バルガス=リョサ / 河出書房新社

    なんて苦しいコルセットだろう。コルセットについては『メフィス』という小説の中でおまえは痛烈な批判をしていて、未来社会では不適切な衣類として禁止されるだろう、女性を腹帯を締めた雌馬のように感じさせるから、と述べている P262(続きを読む
    2,349 Views
    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/12/07 作成)
  • 楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)

    楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2) の引用ノート

    マリオ・バルガス=リョサ / 河出書房新社

    けれども、今、距離を置いて、壮大な眺めが広がっている「愉しみの家」で思い返してみると、激しやすく子供っぽくて、病人が命を救ってくれる医師に頼るように、おまえに頼りきっていた、その狂ったオランダ人は無防備なほどお人好しで、このうえなく寛容だった。人を妬まず、恨みもせず、謙虚に身も心も芸術に捧げて物乞いのような生活をしながら、そのことを全く気にかけていなかった。極度に感じやすく、妄想に取りつかれていたフィンセントは、あらゆる形の幸せから遠ざけられているようにポールには思えた。彼は漂流者が板切れにつかまるようにおまえにしがみつき、ジャングルの中で生き延びる方法を教えてくれる賢者か猛者のようにおまえを信じ切っていた。それほど大きな責任をおまえに課したのだよ、ポール。フィンセントは、芸術にも、色彩にも、絵にも精通していたが、人生については何もわかっていなかった。だから彼はいつも不幸だったのだ。だから狂って、三十七歳の若さで腹にピストルの弾を撃ち込んで死んでしまったのだ。それなのに軽薄な奴らが、パリの暇人どもらが、フィンセントの悲劇をおまえのせいにするなんて、なんて不当なことだろう。アルルで共同生活をしていた二か月のあいだにも、おまえはもう少しで気が狂ってしまいそうだったし、そのうえ、オランダ人画家によって殺されそうだったのに。 P325(続きを読む
    2,344 Views
    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/12/07 作成)
  • キーワードで引用ノートを探す
    Copyright © 2025 Culturelife Inc. All Rights Reserved.