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『文学・評論』関連の引用(抜き書き)読書ノートリスト

引用(抜き書き)『文学・評論』関連の読書ノートリスト

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  • 楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)

    楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2) の引用ノート

    マリオ・バルガス=リョサ / 河出書房新社

    けれども、今、距離を置いて、壮大な眺めが広がっている「愉しみの家」で思い返してみると、激しやすく子供っぽくて、病人が命を救ってくれる医師に頼るように、おまえに頼りきっていた、その狂ったオランダ人は無防備なほどお人好しで、このうえなく寛容だった。人を妬まず、恨みもせず、謙虚に身も心も芸術に捧げて物乞いのような生活をしながら、そのことを全く気にかけていなかった。極度に感じやすく、妄想に取りつかれていたフィンセントは、あらゆる形の幸せから遠ざけられているようにポールには思えた。彼は漂流者が板切れにつかまるようにおまえにしがみつき、ジャングルの中で生き延びる方法を教えてくれる賢者か猛者のようにおまえを信じ切っていた。それほど大きな責任をおまえに課したのだよ、ポール。フィンセントは、芸術にも、色彩にも、絵にも精通していたが、人生については何もわかっていなかった。だから彼はいつも不幸だったのだ。だから狂って、三十七歳の若さで腹にピストルの弾を撃ち込んで死んでしまったのだ。それなのに軽薄な奴らが、パリの暇人どもらが、フィンセントの悲劇をおまえのせいにするなんて、なんて不当なことだろう。アルルで共同生活をしていた二か月のあいだにも、おまえはもう少しで気が狂ってしまいそうだったし、そのうえ、オランダ人画家によって殺されそうだったのに。 P325(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/12/07 作成)
  • ヴェネツィアが燃えた日 世界一美しい街の、世界一怪しい人々
    フェニーチェの火災の、だれもが内省を強いられた余波のなかで、ヴェネチア人は私自身が自分に発したい問いを自らに投げかけているようだったーーそれはつまり、かくも超俗的で自然に反した環境で暮らす意味はいったい何なのだろう、という疑問である。かつてヴァージニア・ウルフが ”陽気で、神秘的で、無責任なすべてのものの遊び場” と呼んだものが、果たしていまのヴェネチアには残っているのだろうか?(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/11/15 作成)
  • ヴェネツィアが燃えた日 世界一美しい街の、世界一怪しい人々
    人々は小さな広場で芝居を演じたり仮装パーティに興じたりした。その興奮がほどなくヴェネチア全域に広がり、観光客も加わって、ついには商業的なイヴェントに発展した。何よりも目立つそのシンボルが、街中に増殖した仮面ショップだったと言っていいだろう。それは色彩とファンタジーにあふれた小さな店舗で、派手な照明を施したショウ・ウインドウは暗い路地を一年中明るく照らし出した。たちまちのうちに、仮面はヴェネチアを訪れる観光客好みのイコンになった。が、新しい仮面ショップが一軒オープンするたびに、青果店やパン屋や肉屋が一軒減って、市民たちを慌てさせた。彼らはトマトや食パンを買うために、従来の2倍も遠いところまで歩いて行かざるを得なくなったのである、仮面ショップは、ヴェネチアという街が、その住民の暮らしの利便性を犠牲にして観光ブームに屈した、嘆かわしいシンボルになったのだった。 P126(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/11/15 作成)
  • なぜ書くか: エリザベス・ボウエン/グレアム・グリーン/V・S・プリチェットの往復書簡集
    私の見解は――さらにあなたの見解もそうだと思うが――作家は説教壇から離れておくべきで、そこから降りておくべきで、ただ書くべきだということである。彼らは嘆願書に自分の名前を付加すること、自分たちが多くを知らない、また何も知る理由がない問題に関して新聞に投書すべきではない。そういたいと思う誘惑は不当なほどに大きくなるだろう。なぜか、明らかに、それは「自負心」への誘惑であるが、だが、大衆の側での乱れた価値や虚偽の希望のために、この誘惑がどのようにして提示されるのかということである。 P36(続きを読む
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    haruga6 さん(2013/03/31 作成)
  • 楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)

    楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2) の引用ノート

    マリオ・バルガス=リョサ / 河出書房新社

    だからおまえはひまわりに囲まれているフィンセントを描いたのだ。その絵にはーーどのように見てもーーフィンセントが自分の絵に描きこんでいた生き生きした光はなかった。その反対に、どちらかといえばくすんでいて艶がなかった。その作品の中では、花も画家も輪郭をぼかしてぼんやりと周りに溶け込んでいた。しっかりと輪郭を描かれた人物というより、フィンセントはひとつの彫像で、耐えられないほど緊張してこわばっている剥製のようなマネキン人形で、今にも爆発しそうな火山男だった。とりわけ絵筆を握る硬直した右腕は、絵を描きつづけるためにしなければならない非人間的な努力を示していた。それらすべては、しかめた顔に、「俺は描いていはいない、自分を生贄にしているのだ」と言っているかのような、困惑気味の視線に集約されていた。フィンセントはその肖像画がまったく気に入らなかった。それをポールが見せると、フィンセントは青ざめて下唇を噛みしめ、不快なときに出てくるチック症状を見せながら、しばらく眺めていた、そして最後にこうつぶやいた。「そうだよ、これが俺だよ。でも狂っているね」 P335-336(続きを読む
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    haruga6 さん(2012/12/08 作成)
  • 楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)

    楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2) の引用ノート

    マリオ・バルガス=リョサ / 河出書房新社

    熱い議論が飛び交う会議は夜遅くまで長引くこともあったが、フローラを困惑させたのは彼女が提案した大きなテーマーー老人や病人、事故にあった労働者のためのユニオン殿堂、すべての人が無料で受け取ることのできる教育、働く権利、国民の擁護などーーについて討論しないで、取るに足りないことや陳腐なこと、ばかばかしいことに時間を費やしていることだった。おさだまりのごとくある労働者が、あなたは本の中で「子供たちにパンを買うべき金を酒場に行って飲んで浪費してしまっている」と書いて労働者たちを批判していると、フローラを非難した。また、サン=マルタン通りに近いジャン=オーベールの袋小路にある屋根裏部屋での集会で、ロリーという名の大工が、フローラにふいに言い出した。「ブルジョワを前に労働者の悪癖を暴き立てるなんて、あなたはとんでもない裏切り行為を犯しましたよ」フローラはかれに答えた。偽善や嘘がいつもブルジョワの武器であるように、真実はプロレタリアの一番の武器であるべきだ、と。何と言われても言いたい人には言わせせておこう。悪癖は悪癖だし、粗野なことは粗野、と彼女は言い続けるだろう。 P455~P456(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/12/08 作成)
  • ヴェネツィアが燃えた日 世界一美しい街の、世界一怪しい人々
    「たしか、サン・マルコ広場には鳩の餌を売るスタンドが八つありますね。あれを全部撤去する、というのはどうです?」 「ええ、たしかにそれは理にかなった案ですな」 「でも、実現できない、と。なぜできないんですか?」 「理由は二つあります。一つ。ヴェネチアとしては、観光客に楽しんでもらいたい。で、観光客が何より楽しみにするのは鳩との出会いなのです。二つ。信じられないかもしれませんが、トウモロコシを一袋四リラで売るのは、途方もなく儲かるビジネスなのです。だから、あのスタンドのオーナーたちは、喜んで三億リラ(15万ドル)の専売特権を市に払うのですよ。しかし、その一方で我々は、鳩に餌を与えられる地区を厳しく制限しています。それはサン・マルコ広場でのみ合法で、それ以外のいかなる地区でも禁じられているのです。サン・マルコ広場から十歩でも外に出たところで鳩に餌を与えている現場を見つかったら、10万リラの罰金を科されますからね」 「そいつは馬鹿げた話ですね」 「馬鹿げた話どころじゃありませんな」スカットリン博士は言った。「理屈に合わないし、偽善的だし、無責任だし、危険だし、不正直だし、堕落しているし、不公正だし、完全に狂っています」彼は深々と椅子にもたれた「わがヴェネチアにようこそ」(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2012/11/15 作成)
  • なぜ書くか: エリザベス・ボウエン/グレアム・グリーン/V・S・プリチェットの往復書簡集
    先日、昼食の時に一人の農民に会った。彼は二人の精神異常者を雇っていた。彼らは立派な働き手であったと言う。またどれほど仕事に忠実であることか。彼らは美しき新世界の条件づけられた人間のようであった。不忠節とは私たちの特権である。しかしこの特権は社会に決して認めさせることのできない特権である。従って、罰を受けずに不忠節でありうる私たちはこの理想を生々しく持っていなければならない。 P44(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2013/03/31 作成)
  • 物語とふしぎ (岩波現代文庫〈子どもとファンタジー〉コレクション 3)
    1人の人間も、その存在を支えるコンステレーションを持っている。父や母や家族ばかりでなく、あんがい氏神様の神社とか、庭にある一本の木とか、いろいろな人やものが、1人の人の周りに存在してうまく支えてくれている。しかし、それは変化する。(続きを読む
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    chiyorinさん
    chiyorin さん(2014/12/15 作成)
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