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『文学・評論』関連の引用(抜き書き)読書ノートリスト

引用(抜き書き)『文学・評論』関連の読書ノートリスト

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  • 指先からソーダ (河出文庫)

    指先からソーダ (河出文庫) の引用ノート

    山崎 ナオコーラ / 河出書房新社

     年齢を重ねていくと、あきらめることが増えていく。それがとても楽しい。  私は、あきらめるのが大好きだ。様々なことをあきらめていく。  二十代も後半になれば、体力は、十代の頃とは、違ってくる。徹夜するのが、つらくなる。しかしあきらめて、この体力で生きていくのだ。  身の上に落ちてくる諦念という言葉を甘受したい。  失恋が好き。  あの人をあきらめられる。  失業が好き。  買い物をあきらめられる。 「あきらめる」の語源は、「明らかにする」だという。物事をはっきりさせる、というところから、意味が変化してきたのだ。(続きを読む
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    itokoさん
    itoko さん(2012/11/24 作成)
  • 隣人が殺人者に変わる時―ルワンダ・ジェノサイド生存者たちの証言
    1994年のことである。ルワンダの「ニャマタ」という地域の丘で,ツチ系住民およそ5万9千人のうち約5万人もがマチェーテ(なた)を持ったフツ系の兵士や隣人たちによって虐殺された。この虐殺は4月11日(月)に始まり,5月14日午後2時まで続き,その間毎日欠かさず,午前9時半から午後4時のあいだに行われたのである。 【17歳,農婦,裁縫師】 ある日,インテラハムエがパピルスの葉の下にいるママを発見しました。ママが立ち上がり,お金を払うからマチェーテのひと振りで殺してくれと申し出たとき,彼らは服をはぎ取り,お金を奪いました。そして両腕を切り落とし,その後両足も切り落としたのです。(中略)殺し屋たちは,致命傷とすぐわかるようなきり方はしません。(中略)ママは激痛の中,死ぬまでの3日,耐えました。 【14歳,牛飼い】 僕の長姉は苦痛がないように殺してくれと,知り合いのフツに頼んだ。彼は「わかった」と返事をし,草むらまで彼女を引きずっていき,こん棒で一撃を加えた。しかし近くの人が,「彼女は妊娠している」と叫ぶと,ハキズマはナイフで彼女の腹を裂き,袋のように開いた。想像を絶する恐ろしい光景だった。 【38歳,教員】 フツの目に,私たちは人のようには見えず,動物のように映っていたのでしょう。フツは私たちを動物のように見ることになれていき,動物のように私たちを追いました。でも本当のところは,彼らが動物のようになって言ったのです。彼らは殺しやすいようツチの人間性を奪ったのですが,自身が獣以下に落ちていきました。なぜ,何のために殺しているのかが,もはやわからなくなっていました。彼らは狂ってしまったのです。あるインテラハムエは,身ごもったツチの女性を捕まえると,腹を切り裂くのです。ブチハイエナでさえ,そんな邪悪なことを考えないでしょう。 彼らは井戸の後ろに隠れている子どもを発見しました。小さな女の子でした。彼らは彼女を切り始めました。私は隠れながら,すべてを聞いていました。彼女は命乞いさえせず,ただ死ぬ前に少しだけつぶやきました。「主よ」。そんな言葉でした。そして,かすかな悲鳴をあげました。 戦争は知性と愚かさが原因であり,ジェノサイドは知性の喪失が原因です。当時を語るとき,いつも私をまごつかせるのは,殺人者のもつ邪悪さです。もし殺人をしなければならないのなら,ただ殺すだけでよかったのに,なぜ足や腕を切り落とさなければならなかったのでしょうか。 彼らは切断して不自由にするという,人間性までも奪う殺し方をしたのです。それは恐ろしい過ちです。 【22歳,農家】 ジェノサイドというのは,ある民族集団が別の民族集団を葬ろうとすることを指します。ジェノサイドは戦争よりも悲惨です。なぜなら,たとえその試みが成功しなかったとしても,その意思は消えることなく永遠に存続するからです。 【20歳,農家】 彼らは家族を捕まえると,まず父親を,次に母親を,最後に子どもたちを切りつけました。その結果,子どもたちはすべてを見てしまうことになったのです。 【21歳,農婦】 白人は,ジェノサイドは狂気の沙汰だったのだろうと言います。しかし,それは違います。ジェノサイドは入念に計画され,確実に実行された一つのプロジェクトです。 【34歳,ソーシャルワーカー】 涙を流すことでしか自分自身を表現できない子ども,そして「僕は泣いたのに,あいつらはパパとママを殺した。ぼくは泣いたのに,食べ物も屋根も手に入らなかった。ぼくは泣いたのに,学校にいくための物は何もない。もうぼくには自分ためにも,ほかの誰かのためにも泣きたいと思わない」と言う子どももいました。 殺人者を野放しにした白人を決して許すことはできません。虐殺したフツを決して許すことはできません。隣人が少女の腹を裂いて,赤ん坊を母親たちの目の前で殺すのを黙って見ていた者たちを許すことはできません。(続きを読む
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    masudakotaroさん
    masudakotaro さん(2013/09/07 作成)
  • 下に見る人

    下に見る人 の引用ノート

    酒井 順子 / 角川書店(角川グループパブリッシング)

    得意先 P98  大人になった今は、発注側が「上」で受注側が「下」というのは、「そういうことにしておいた方がわかりやすいから、そうしておきましょう」という、一種の取り決めであり、プレイのようなものであることがわかるのです。フラットな状態で何でも民主的に決めるより、上下の落差をつくっておいた方が、こと仕事に関してはスムーズに進むことがあるのですから。(続きを読む
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    sonojituさん
    sonojitu さん(2013/02/08 作成)
  • 夜になるまえに

    夜になるまえに の引用ノート

    レイナルド アレナス / 国書刊行会

    マンゴの木の下で、小さなテーブルを前にして本にサインしている年老いた女性がいた。それがリディア・カブレラだった。ハバナにある広い別荘を、広い書斎を、自分の過去をいっさい棄てて、いまはマイアミのつましいアパートで暮らし、野天で、マンゴの木の下で、自費出版した本にサインしている。そんな姿を見て、目の見えないリディアが偉大さを、そしてキューバでも亡命先でも他の作家にはもう残っていない反骨心を体現していることがわかった。ぼくたちの歴史で最も偉大な女性の一人、だが、すっかり片隅に追いやられ忘れられていた。 P376(続きを読む
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    haruga6さん
    haruga6 さん(2013/08/21 作成)
  • 深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)
     起きたからといって急にすることが見つかるわけでもないが、とにかくベッドの傍から離れ、宿の外に出て表の通りを歩きはじめる。まず行くのはチャイ屋だ。  チャイとは茶、インドでは紅茶をさす。インドの紅茶は、イギリス風の気取った飲み方をするというものではなく、紅茶と砂糖と牛乳を鍋に叩き込み、煮立ったところで茶漉しを通して器に注ぐという、粗野だがこってりしたミルク・ティーがほとんどだった。私は、乏しい金をいくらかでも倹約するために朝食を抜き、かわりにチャイを一杯だけ飲むことにしていた。  馴染みになったチャイ屋の親父は、バケツにはった水をくぐらせただけで洗ったコップを受け皿にのせ、そこに溢れるほど注いでくれる。まず受け皿にこぼれたチャイをすすり、それからコップに口をつける。熱すぎる場合には受け皿に少しずつこぼし、さましながら飲む。インドではそうした一杯が一ルピーの五分の一、二十パイサか三十パイサほどだった。私は僅か七、八円のそのチャイを、インドの暇人と一緒に時間をかけてすする。(続きを読む
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    h_nagashimaさん
    h_nagashima さん(2012/10/02 作成)
  • 新編 東洋的な見方 (岩波文庫)
    この有限の世界に居て、無限を見るだけの創造的想像力を持つようにしなくてはならぬ。この種の想像力を、自分は詩といって居る。この詩がなくては、散文的きわまるこの生活を、人間として送ることは不可能だ。 荒唐無稽だと嘲ることを止めよ、頂門に一隻眼を具えないものにとりては、とてもこの「詩」の世界はわからぬ。(続きを読む
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    tmkn さん(2012/11/24 作成)
  • 深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)
     もたもた、よろよろしながら、それでもどうにかターミナルに着いた。もちろん時計の針は、七時半はおろか八時を廻っている。と、天の助けかアムリトサル方面行きのバスがまだ発車せずにいるではないか。  少し待ってくれるようバスの運転手に頼もうと喜び勇んで駆け上がると、乗客全員にジロリと睨まれた。なんと満席で、そのバスに乗りきれない人がもう一台分くらい周囲にいる。彼らは次のバスを待っているのだ。 「次のは何時です」  訊ねると、英語のわかる乗客のひとりが五時と教えてくれた。朝の、である。もしそれに乗れなかったらと訊ねると、七時半と言う。二時間くらいならと呟くと、いや夜のだと言う。そうか半日後か。半日もどうやって時間をつぶそうか。すると彼が同情するように言った。 「明日のじゃない。三日後だ」 (P.31~)(続きを読む
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    h_nagashimaさん
    h_nagashima さん(2012/11/24 作成)
  • 麦ふみクーツェ (新潮文庫)
     にゃあ!  やっとわかった。待っていたんだ。  うまれて以来ずっと、ぼくは知らず知らずのうちに待っていた、ばちをふりおろすこの瞬間を。いちばんうしろの高いところでずいぶん長いあいだ、じっとばかみたいに立ちつくし、このへんてこな打楽器を打ち鳴らす時ときがくるのを。(続きを読む
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    dotetintinさん
    dotetintin さん(2014/03/12 作成)
  • 虫眼とアニ眼 (新潮文庫)

    虫眼とアニ眼 (新潮文庫) の引用ノート

    養老 孟司 / 宮崎 駿 / / 新潮社

    目の前に気に入った散歩道が見つかれば、それが50メートルしかなくても、けっこう機嫌よく生きられる。生き方のコツとしてはぼくはそうだと思うようになってきた。(宮崎駿)(続きを読む
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    goyaさん
    goya さん(2013/03/13 作成)
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